43 / 121
第24-2話変人回避なら悪ふざけ上等
「マジかよ……コイツら、魔法で一気にボンッと倒せないのか?」
「魔力不足だ。かろうじて物に精霊の力を宿せられる程度しかない」
話している途中に黒い狼がこちらへ飛びかかってきて、ケイロが剣の切っ先で斬り付け、後退させる。
直接攻撃しかできないってことか……じゃあ好都合だ。
俺はニッと歯を覗かせ、ふてぶてしく見えるように笑った。
「よし……じゃあ今からケンカごっこするぞ、ケイロ」
「な、んだと……?」
「俺とお前は、今からここで悪ふざけで大ゲンカするフリして派手に立ち回る。そうすれば、そこの黒わんこを倒しながら変人に見られるのは避けられる……しばらくは掃除中にふざけてケンカした怖い人認定されるけど、変人よりはマシだろ?」
変人に見られるのは嫌――それはケイロだって同じだ。
俺にそう思われていたと知って怒ったほどだから、その人数が増えれば不愉快極まりないだろう。
目的が果たせるまではここにいなくちゃいけないみたいだし、嫌な思いは少ないほうが良いに決まってる……そうしないと、ストレス発散で俺が酷い扱いを受けそうな気がするし。
俺の狙いを知ってケイロが小さく吹き出す。そして、いつもの勝ち誇ったような笑みを唇に浮かべた。
「子供じみた案だが、面白い。付き合ってやろう……っ!」
ともだちにシェアしよう!