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第24-2話変人回避なら悪ふざけ上等

「マジかよ……コイツら、魔法で一気にボンッと倒せないのか?」 「魔力不足だ。かろうじて物に精霊の力を宿せられる程度しかない」  話している途中に黒い狼がこちらへ飛びかかってきて、ケイロが剣の切っ先で斬り付け、後退させる。  直接攻撃しかできないってことか……じゃあ好都合だ。  俺はニッと歯を覗かせ、ふてぶてしく見えるように笑った。 「よし……じゃあ今からケンカごっこするぞ、ケイロ」 「な、んだと……?」 「俺とお前は、今からここで悪ふざけで大ゲンカするフリして派手に立ち回る。そうすれば、そこの黒わんこを倒しながら変人に見られるのは避けられる……しばらくは掃除中にふざけてケンカした怖い人認定されるけど、変人よりはマシだろ?」  変人に見られるのは嫌――それはケイロだって同じだ。  俺にそう思われていたと知って怒ったほどだから、その人数が増えれば不愉快極まりないだろう。  目的が果たせるまではここにいなくちゃいけないみたいだし、嫌な思いは少ないほうが良いに決まってる……そうしないと、ストレス発散で俺が酷い扱いを受けそうな気がするし。  俺の狙いを知ってケイロが小さく吹き出す。そして、いつもの勝ち誇ったような笑みを唇に浮かべた。 「子供じみた案だが、面白い。付き合ってやろう……っ!」

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