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第25-1話ヤケに息が合うのは……

 互いに目を合わせて意思を確かめた後、ケイロは剣で箒を押し返し、俺を突き放した。 「この俺とやるつもりか、坂宮太智! いいだろう……ハンデをくれてやる。俺は素手でやってやるから、遠慮せずにその得物で殴りかかって来い」  よし、ノリノリだなケイロ。俺は演技できない人間だから、本気でふざけさせてもらうからな。  俺はニヤリと笑って箒を構える。そんな俺たちの周りを黒い狼たちが取り囲み、攻撃するタイミングをうかがっていた。 「その台詞、後悔するなよ? どっちが強いか、今日こそハッキリさせてやる!」  大きく箒を振り上げながら、俺はケイロに突っ込んでいく。  スッ、と横に避けられても敢えて踏み止まらず、そのまま狼たちの所を目がけて箒を振り抜けば、狙い通りに当たって狼が吹っ飛ぶ。  二匹ヒットした内、一匹が黒い煙と化して姿を消す。どうやら一定のダメージを与えると倒されて消滅するらしい。なんかゲームっぽい。  俺の攻撃を参考にしたのか、ケイロの動きが大袈裟になり、俺へ殴りかかるフリをしてくる。それを避けた俺を通り過ぎてから思いっきり剣を振るい、狼たちを斬り付けて着々と倒していく。  自ら飛び込んで俺たちを襲ってくる狼に対しては、 「百谷、脇がガラ空きだぞ!」  なんて注意を促しながら、俺は箒を真っすぐにぶつけて狼を突く。ケイロもケイロで、 「右が隙だらけだな。そんな雑な動きで俺に敵うと思ってるのか!」  丁寧に攻撃する箇所を先に告げ、剣を繰り出して狼を払ってくれた。

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