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第25-2話ヤケに息が合うのは……

 たぶん傍から見れば、男子生徒二人の悪ノリなケンカになっていると思う。  変人認定だけは避けたい気持ちが同じなせいか、それとも肌を何度も合わせているせいか、やけに息が合っている気がしてならない。あと体が触れる手前の超至近距離になると、体が疼いて力が抜けそうになるのが地味に危ない。  それでもどうにか二人で狼たちを倒し切る頃には、中庭に生徒が数十人ほど集まり、ざわつきながら俺たちの悪ノリケンカを見物していた。そんな中、 「こらっ、何を騒いでいるんだ!」  先生の声が飛んできて、にわかにざわつく。声の主が数学教師になっているアシュナムさんのものだと分かって、俺もケイロも思わず安堵で息をついた。 「すみませーん、ちょっと悪ノリして遊んでいましたー」  駆け寄ってきたアシュナムさんに、俺はわざとらしい声を出しながら歩み出て、挑発的な態度を取ってみせる。  この状況を分かっていたのか、アシュナムさんは小声で「気遣い感謝する」と俺に告げた後、いつもより低い声で俺たちを怒鳴りつけた。 「坂宮! 百谷! ちょっとこっちに来い、説教だ!」  迫力あるなあ、アシュナムさんの声。すごい通る声だ。元は軍人さんなのか? なんて思いながら、俺は素で驚いて肩をすくませる。ケイロは慣れているのか、まったく微動だにせず、戦闘の時とは打って変わって面倒そうな顔して歩き出していた。  

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