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第29-2話●考えないようにしていたこと
「お前の、さっさと挿れろよぉ……っ、奥まで……なぁ……」
聞きたかった答えなんだろ、これが――ああやっぱりか。スゲーにんまり笑いやがって……言わせるな、バカ王子が。
顔が熱くてたまらない俺の腰を掴み、ケイロがゆっくりと繋がってくる。
欲しかった圧迫感に俺は思わず溺れかけの浅い上辺の息を何度も吸い、込み上げてくる快感に流されてケイロの背中に縋った。
「あァ……ぁ……イイ……はぁ……ン……ッ……」
これから何度も訪れるだろう絶頂で頭がいっぱいになっている俺の耳元で、ケイロが小さく笑った。
「嬉しそうで何よりだ……なあ太智、気づいてるか?」
「……ぁ……何を……?」
「お前、今……魔法を使っていないのに、俺でこんなに悦んでいるんだぞ……」
考えないようにしていた現実を突きつけられ、俺は眉間にシワを寄せる。
ケイロに近づかれ、触れられただけで出来上がってしまった体。
指摘されても感じる体は変わらなくて、引き返せなくなっている俺を自覚する。
分かってる……もうケイロとこうするのが嫌じゃないってことも、コイツ自身のことも嫌じゃなくなってることも。むしろ――。
「そん、なの……どうでもいいから……っ……イかせろよ、ケイロ……っ」
深く考えてしまいそうになる自分を止めたくて、俺は腰をくねらせ、中で昂っているケイロを煽る。
たぶんコイツの思うツボなんだろうと気づいていても、俺は自分の体に逆らえなかった。
「もちろん……嫁の頼みとあれば、喜んで……好きなだけイけ」
そう言うなりケイロは奥を執拗に突いて、俺の意識をサンドバックにして叩きまくった。
遠くから疎らな内履きの音や生徒たちのざわめきが聞こえ始めて、放課後が始まったことを知る。
きっと喘いでいたら声が漏れて、鍵がかかっていても中へ入ろうとしてくるヤツが出てくるかもしれない――ケイロとの営みを邪魔されたくない。
俺はイきっぱなしになりながら、自分からケイロの唇に食いつき、キスで声を押し殺す。
唸り合う声が俺たちの頭を包み込み、さらに深く、二人だけの世界に溺れていった。
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