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第30-1話敵は俺と面識あるヤツ?

   ◇ ◇ ◇  どうにか部活を終えて帰宅――といきたいところだが、俺はグッと堪えて隣の百谷家へ足を運んだ。 「……ちわー。失礼します」  リビングへ行けば既に帰宅していたケイロと百谷先生たち――ソーアとアシュナムが、気難しい顔を突き合わせて何か話し込んでいた。  が、俺に気づいた途端、ソファへ座っていたケイロが真っ先に俺へ振り向き、やけに表情を輝かせてきた。 「よく来たな太智。早くこっちに来て座れ」  真横の座面を指でトントンと叩くケイロに、俺は頬を引きつらせる。 「そこに座れってお前……何考えてんだよ。嫌に決まってんだろ」  コイツの傍に近づくと、体が疼いておかしくなる。しかも部活前に濃厚な関係を持ったばかり。いつも以上に触れるな危険状態だ。俺はいつも通りにケイロから距離を取り、ソファの端に腰かけた。 「俺が来るまで、あの黒い狼の襲撃のことを話してたのか? 今までもあんなことあったのか?」  俺の質問に三人がまばらに首を横に振る。 「あそこまで大規模な襲撃はなかった……太智殿の手を煩わせて本当に申し訳ない」  アシュナムさんがまた土下座しそうな動きを見せて、今度は俺が全力で首を振りながら制止した。 「もう済んだことなんで気にしないで下さい! あと、土下座はそう何度もやるものじゃないですから……やり過ぎると効果が弱まって、逆に軽薄な印象を持たれます」 「そ、そうなのか。難しいな、異世界の風習というのは……」  眉間に深いシワを作ったアシュナムさんに苦笑してから、ソーアさんは表情を引き締めて眼鏡の端を上げる。

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