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第34-2話俺にも魔力が?
「ほう、見様見真似で精霊を使役できるとは……」
振り返ったケイロに話しかけられ、俺は目の前の光球を指差す。
「やっぱりこれ、俺が呼んじゃったのか」
「自分の魔力を糧にして、この世界を構築する精霊を呼び出して力を借りる……それが魔法の基礎だ。今まで言わなかったが、お前には俺の魔力が体内に蓄積されている状態だがら、初心者でもそこそこ魔法が使えるはずだ」
ケイロの魔力が蓄積? いつの間にそんなことを――。
俺が不思議そうにしていると、ケイロがニヤリと笑った。
「いつもお前の中に注いでいるからな。心から俺を受け入れているほどに、より多く魔力が体内へ取り込まれる……好ましいことで何よりだ」
言われた内容がすぐ頭に入らず、きょとんとなってから俺は顔を熱くした。
「な……っ?! う、受け入れてないからな……っ。そうしないと自爆するから、仕方なしに……」
「……太智、ちょっとこっちへ来い」
突然ケイロに腕を引かれ、俺は図書館の奥へと連れ込まれる。
整然と並ぶ本棚へ身を潜ませるように俺を抱き込むと、ケイロは何も言わずに俺の唇を貪ってきた。
「……っ……ぅ……ン……」
お前なんか受け入れていないと反発していても、直接触られて舌を絡められたら、もう体の自由が快感に奪われてしまう。
腕の中で体が弛緩し、ぐったりした俺の背を撫でながらケイロが小さく笑った。
「強がるな、太智……もうお前は俺から離れられないと認めてしまえ」
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