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第36-2話まさかの火の玉特訓?!

 いきなり王族の裏事情が垣間見えて、俺は思わず押し黙ってしまう。  スゲー呑み込みの早い天才肌だと思ってたけれど、実はそうならないといけない状況に迫られて、必死でそうなっちゃったんだな……。  一旦ケイロに同情して、でも俺とは別だと考えを切り替える。 「説明もなく、いきなりやられて『分かれ、感じろ!』なんて普通無理だからな……せめて説明しろ。あと、どうしてこれをいきなりやろうと思った?」 「太智が精霊を使えると分かったから、やっておきたくなったんだ。そうすればいざという時に太智も戦える。物に魔法を宿すことができれば、この間の箒での戦闘みたいに太智も参戦できるし、万が一にもひとりの時に襲われたとしても自衛できるからな」  確かに自衛できれば心強いけど……俺にできるのか? できるようになったら、俺もこっちの誰かに見られたら、戦闘ごっこしてる中二病認定受けちゃうんだろうなあ。それは嫌だ……でも変人に見られるより、命を守るほうが先決だよな……。  完全にケイロたちと同じになりたくない、という心の抵抗を捻じ伏せて、俺はハッキリと頷いた。 「……分かった、できるように頑張ってみるから教えてくれ」 「いい心がけだ。それでこそ俺の嫁だ」 「小声でもその単語は言うな……っ」

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