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第37-1話世界は違えど、火の扱いは丁寧に
頬を引きつらせながら睨む俺に口先でも謝ることなく、ケイロは話を進めてくる。
「まずはボールを持ってパスの構えを取れ」
「こ、こうか?」
「そのまま投げる動作をする際に、ボールを強く意識しながら『火の精霊よ、共に駆けろ』と口で命じれば火をまとう。そしてボールが相手に渡る瞬間、火が消えるという寸法だ」
なるほど、じゃあさっきのボールも俺が完全に取っていたら火は消えていたのか。事情が分かれば安心して取れる……でも、手元が狂ったって言ってたよな……?
他にも何かある気がして、俺はケイロの顔をうかがう。
「やればすぐできそうなんだけど……注意点とかあるか?」
「思考が乱れると火の精霊が混乱して、内容にブレが生じる。だから投げることに集中する必要があるな」
「……さっき俺にパスした時、百谷は何か考え事でもしてたのか? 手元が狂ったなんて言ってたの、気になったんだけど……」
「図書室のことを思い出して、今晩はどう啼かせようかと考えていた」
「考えるなぁ……っ! あと明日に響くから、今日はやめろ。頼む、マジで」
どれだけ俺とヤりたいんだよ?! コイツ、本当に顔と中身にギャップあるな……むっつりエロ魔人め……一回始めると長いから寝るの遅くなるし、体力がっつり使い果たして寝ても回復し切れねぇ。
体育の授業が午前中にあったらいつもよりバテるの早いし、そんな状態で球技大会に出たら、初戦の途中でバテて無様な姿を晒すことになっちまう。
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