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第40-1話昼休みの緊急事態
「すごいね二人とも! 決勝まで行っちゃうなんて」
昼休みに一旦教室へ戻って昼食を摂っている最中、悠がホクホクとした笑顔で声を弾ませた。
「いやー、百谷が本気出しちゃってさ。もう独壇場。コイツが点取り出したら誰も止められないぞ」
言いながら、なんか旦那自慢しているような気がして背中がこそばゆい。でも事実は事実だし、貸した漫画さながらのプレー連発を湛えたくてたまらない。
そんな表立って褒め称える俺へ、ケイロがあからさまに嬉しそうな笑顔と視線を向けてくる。
「全部俺の手柄だと言いたいところだが、パスを上手く出したり、俺が望んだ位置に先回りしている女房役がいる。おかげで俺も身動きが取りやすかった。決勝もこの調子で頼む」
……コイツの口から女房役なんて言葉を出されると心臓に悪い。まさかここぞとばかりに嫁自慢でもしてるのか?
ケイロと目が合って、思わず俺は照れて視線を逸らす。微妙に二人だけにしか分からない、甘い空気が薄っすらと漂ってこっ恥ずかしい。
優勝したら、また褒美をくれてやるって散々抱いてくるんだろうなあ……ああクソっ、分かりたくないのにケイロの言動が手に取るように読めちまう。
弁当を食べながら心の中で頭を抱えていると、
「百谷、坂宮、大変だ!」
バスケでチームを組んでいるクラスメートたちが俺たちの元へ駆け付けた。やけに切羽詰まった顔をしていて、俺は首を傾げながら尋ねてみる。
「どうしたんだよ、そんなに慌てて……」
「百谷が強すぎるからって、決勝は相手チームだけバスケ部参加OKになったんだ!」
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