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第53-1話ツッコまずにはいられない

 もっと交流を持ちたかったが、そろそろ昼休みも終わりかけ。もう帰っていいから、って言えば精霊消えてくれるのかなあ……と思っていたその時だった。 「あ……」  ケイロたちが校舎裏へやって来たことに気づいて、俺は木の陰から三人をうかがう。  まだ俺には気づいていないようで、アシュナムさんとソーアさんはケイロにへりくだった態度を取っている。ケイロが緩んでいるみたいで偉そうだ。  このまま気づかれないなら、やり過ごしたほうがいいか? こんな所で俺ひとりで何やってんだって話になりそうだし。  でもなあ……こっちの世界のことをアドバイスする立場にある身としては、ちょっと見過ごせねぇ……っ。  俺は姿を現わし、ケイロたちへ駆け寄った。 「太智?! どうしてここにいるんだ?」  驚くケイロへ答える前に、周囲を見回して人がいないことを確かめてから、俺は声を潜ませながら近づいた。 「精霊が使えるようになったから、魔法の練習してたんだよ……ちょっと聞くけど、校舎の中を移動する時も三人一緒に行動しているのか?」 「ああ、そうだが? 立場は違えど兄弟なら校内で一緒にいてもおかしくないだろ?」 「お前のキャラに合ってない」 「……どういうことだ?」 「人と馴れ合わないクール男子は、学校で兄弟仲良く並んで歩かねぇ! むしろ身内とは顔を合わせないように避けるか、短く用件を伝えてさっさと離れる。基本、俺らぐらいの男子高生は兄弟と馴れ合わないことのほうが多い」

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