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第53-2話ツッコまずにはいられない
「な、なん、だと……?!」
あからさまに驚くケイロと、信じられないと首を振ったり目を剥くアシュナムさんとソーアさんへ、俺は大きく頷く。
そう。兄弟仲が良くて公私ともに距離が近いことはあるけれど、思春期になると気恥ずかしくなって外では距離を取る男子のほうが体感的に多い。
しかもケイロは誰とも馴れ合わない空気を放っている。そんな奴が身内と仲良く歩いているだけで、周りは興味津々になると思う。
俺は三人へ目を合わせながら訴える。
「校内の密室とか人払いした部屋とか自宅ならいいけど、遠目でも目撃できちゃう所では悪目立ちするからやめておけ。俺みたいな巻き込み被害者を作らないよう、慎重にやってくれ」
切実な俺の願い。ケイロたちの被害者は俺だけでいい――ハーレム有りの重婚展開は嫌だからな!
話を聞いて、三人が各々に距離を取って頷いた。
聞き分けが良くて何より、と俺が満足して腕を組んでいると、ソーアさんが俺の背中に隠れていた精霊に気づいて覗き込んだ。
「風の精霊ですか。話には聞いていましたが、よく使えるようになりましたね」
「前にケイ……百谷が使っていたのを思い出して頑張ってみたんです。意外と交流が図れて、ちょっと可愛くなってきました」
これぐらい言っても問題ないだろうと、軽い気持ちで口にした事実。
――また三人が驚いて俺を凝視してきた。
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