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第56-1話●初めての……

   ◇ ◇ ◇  翌日、俺はとにかく寝た。  遅刻ギリギリまでがっつり寝て、授業中もできる限り寝た。船を漕ぐ程度のうたた寝じゃない。しっかり机に突っ伏して寝た。  昼食後もすぐに寝ようとしたら、ケイロと悠に心配されて保健室で寝ろと連れていかれた。別に体調が悪いワケじゃなかったけれど、今はとにかく寝だめしたくて、俺は遠慮なく午後の授業をサボって寝た。  体力を使う部活も休んで、さっさと家に帰って夕寝もバッチリ。  さすがに夕食を終えた後は眠くはならなかったけれど、それでも横になって体を休めた。  そして――百谷家の庭がパァ……ッと光り、再び暗くなった夜十時過ぎ頃。  俺は気配を殺しながらゆっくりと起き上がり、ケイロの部屋と繋がっている白っぽいモヤモヤの前まで来る。 「……そろそろいいかな?」  俺はドキドキとやかましい胸を押さえながら、モヤモヤにそっと首を突っ込んでみる。  部屋の大きさは俺の所とあまり変わらない、ベッドのみの殺風景なケイロの部屋。  そこで寝巻用の黒いスウェットを着たケイロが、書類に目を通しながらベッドへ仰向けになっていた。

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