102 / 121
第57-1話●期待の眼差しを向けてくるな
俺の態度が明らかに違うと分かって、ケイロが本心を探るように目を見つめてくる。
「今日はやけに積極的だな……昼間から寝ていたのは、体調が悪いからじゃなかったのか」
「ああ、元気……ぁ……ケイロと、思いっきりヤりたかったから、寝て体力をためまくったんだ……いつも抱き潰されるから、返り討ちにしてやりたいと思って」
言いながら俺は体を起こしてケイロを見下ろし、スウェットの上を脱がしていく。
てっきりプライドが高いから少しは嫌がるかと思ったが、むしろノリノリな俺を歓迎しているのか顔が嬉しそうだ。
……脱がされるのも恥ずかしいけど、脱がすのも恥ずかしいもんだな。見るな、喜ぶな、次は何してくれるんだって期待の眼差しを向けてくるなぁぁ……っ。
俺のほうが主導権を握っているハズなのに、手綱をケイロに握られたままのような気がする。正直悔しいけれど、今はケイロがノってきてくれることが大事だ。見返すのはまた今度だ。
羞恥と、ケイロに触れるだけで感じる体のせいで、俺の中が火照ってたまらない。
一方的に俺がケイロの肌に触れ、吸い付き、キスを刻み、激しくしてと無言で強請るほどに心臓がせわしなく脈打って、俺を本心から乱れたいと望むように仕立ててくる。
ケイロは何もしない。初っ端からイカれている俺の痴態を見上げて楽しんでいる。嫌悪の欠片も見当たらない。その視線が嬉しくて、俺は焦って落ち着かない手で自分とケイロの下をすべて脱がし、俺の中へ入りたがっているそこへ跨った。
腰を落とし、ケイロの昂ったものへ擦り付けてみれば――にちゃっ、と粘った音と感触が俺の下半身へ響いた。
ともだちにシェアしよう!