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第60-2話明かされる事情

 ものすごく困惑しながら悠が輝石を指でつつきながら、チラチラとマイラットをうかがう。  なんでそんなに戸惑ってんだ? と心の中で首を傾げてから、俺はハッとなった。  あっ! ケイロたちの探していた石が今、俺の手の中に……っ!  このままギュッと握って持ち帰ったら、目的半分達成できるじゃねーか。  でも今日は事情を聴きに来ただけだから、それは卑怯だよな。そんなことしたら悠に絶対恨まれるだろうし。  俺は小さく息をついて沸き上がった衝動を抑えると、輝石をマイラットへ差し出した。  まさか俺が何も仕掛けずに返すと思わなかったのか、マイラットの目が丸くなる。そして柔らかく目を細めた。 「……主、私は貴方様がお決めになられたのならば、そのお心に従います」 『うむ、感謝するぞマイラット。まさかこのような形で望みが叶う日が来るとは……これも精霊王様のお導きか』  話の流れがよく分からないけど、なんか随分と俺に好意的な雰囲気が……あ、悠がホッとした顔してる。  少し肩の力を抜きながら様子をうかがっていると、輝石が『太智よ』と呼び掛けてきた。 『我に与えられし役目は、遥か昔に精霊王様をお助けしたウォルディア王国の民が末長く反映するよう力を与えること……だが、昨今は我の力ありきで強引な繁栄を進め、我の力の補充が間に合わなくなってきておる。今のままではそう遠くない内に我は消えてしまうだろう』 「げっ、マジかよ?! ケイロから事情は少し聞いたけど、石がなくなったら色んな国から攻められて大変なことになるって……」 『間違いなく世界を巻き込んで乱れてしまうだろう。だから我は真に国へ忠誠を捧げるマイラットに事情を伝え、この世界へ避難してきたのだ。力を回復するため……そして我の声を聞き、力を正しく分配できる者を探すために』

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