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第15話 抱擁4

 俺の荒い息が伊央利の部屋に響いている。  伊央利は俺に「かわいい」という言葉を繰り返し、頬ずりをして来る。  そんな伊央利を俺は涙目で睨みつけた。 「……伊央利、どうしてそんなに慣れてるの? もしかして――」  いとも簡単に俺をイカせてしまった伊央利に、俺の胸はなんだかモヤモヤした。  しかし俺の疑惑は伊央利の苦笑交じりの言葉によって打ち消される。 「馬鹿だな。俺はゲイでもバイでもない。第一俺が好きなのは大和おまえだけだって分かってるだろ」 「だって。じゃ、どうしてそんなに詳しいの? 前立なんとかとか……」 「……いろいろ勉強したんだよ、これでも。大和のこと、ちゃんと気持ちよくしてあげたいから……」 「伊央利……」 「慣れてもいないし、余裕なんて全くない。それどころか――」  伊央利は俺の右手をとると、自分の左胸に当てた。  伊央利の鼓動はすごく速い。 「すごくドキドキしてる? 伊央利」 「すげードキドキして、緊張してる」 「伊央利……」  うれしくて切なくて、俺は伊央利に縋りついた。  伊央利は俺の額にキスをしてから、耳元で小さく囁いた。 「……続き、していい?」  そして自分の勃起を俺のイッたばかりのそれに押し付けて来た。 「……あっ……」  俺のそこはまた熱を取り戻し始める。  俺は誰かと体を重ねるなんて全く初めての若葉マークで、次に何が起こるのか漠然とした知識はあるが、やはり未知の感覚で。  体がふるりと震える。  伊央利はそんな俺を強く抱きしめて来て、彼らしくない切羽詰まった声で訴えて来た。 「ごめん、大和……俺、もうとめられない……」 「伊央利……っあ……」  伊央利が俺の脚を持ち上げ、双丘の奥の今まで指が入っていた小さな孔に自らの勃起を押し付けた。

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