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第17話 そして、一つに2
「いやぁ……伊央利……あっ……ああ……も、ダメ……」
許容量を超える凄まじい気持ちよさに、俺はついていけなくて悲鳴に近い声を上げた。
「俺も……も、限界かも……」
耳元で吐息交じりの伊央利の声が囁き、俺の内部を突き上げるスピードが、一段と激しくなる。
「あっ……ああっ……伊央利っ……」
伊央利と一つになって初めて迎えるオーガズムはあまりにも気持ち良すぎて、俺の体はピクピクと痙攣を繰り返した。
「っ……大和……」
そして伊央利が俺の耳元で低く呻いたかと思うと、体の奥深いところにとても熱いものが勢いよく放たれた。
……伊央利もイッてくれた?
今俺の中に注がれたのは伊央利の……。
肩で息をしている伊央利のイキ顔は本当にとても綺麗で。
決して叶わないと思っていた兄の伊央利と愛し合い、一つになり、同じ悦楽の時間を共有できて、俺は本当に幸せで、思わず目じりからポロリと大粒の涙が零れた。
俺の涙を見て、快楽の余韻に浸っていた伊央利が一転、すごく慌てだした。
「大和? どうした? ごめん……その、辛かったか? 俺、手加減できなくて……」
そして壊れ物を扱うかのようにそっと体を抱きしめてくれる。
伊央利は昔から俺の涙に弱い。
幼い頃俺が近所のいじめっこに苛められて泣きながら帰ったら、伊央利はすぐにそのいじめっこに喧嘩を吹っかけてボロボロになりながらも(そのときは伊央利もまだ俺と同じで体が小さかったから)勝って帰って来た。
今も伊央利は俺の涙に焦って、「ごめん」「泣くなよ」と俺の背中をあやすように撫でてくれている。
いつもクールでかっこいい伊央利の困った顔が何だかかわいく思えて、それに甘やかせて貰えるのもうれしくて、俺は涙を拭わずに伊央利の優しさを甘受した。
伊央利は俺の目じりにたまった涙を唇で吸い取ってくれ、背中をゆっくりと撫でることを繰り返してくれている。
そんなふうにされているうちに、トロトロとした睡魔がやって来る。
「大和……? 眠い?」
これ以上はないくらいの甘ったるい声で伊央利が俺に聞く。
「……ん……」
本当はもっともっと伊央利の顔を見つめていたいし、ゆったりとおしゃべりだってしたかったけど。
尋常じゃない眠気が俺のまぶたを重くさせる。
「ゆっくりおやすみ、大和……」
伊央利の唇が今度はまぶたの上に押しあてられ、俺はもう耐え切れず眠りの中へと落ちて行った。
こうして俺と伊央利は双子の兄弟として最後の一線を超えたのだった。
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