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第22話 不穏な従姉妹の存在
誕生日の夜に初めて一つになってから、俺と伊央利は時々体を繋げるようになった。
二人とも健康な高校三年生だし、今現在俺たちの家には二人しかいない。
毎日でも体を重ねたいという思いが俺にも伊央利にもあるのは確かだった。
けれども俺たちは受験生でもあったし、何より伊央利は俺の体の負担を第一に考えてくれた。
俺たちは双子だから普通の恋人同士よりも以心伝心は強く感じる。
時々、伊央利がすごく欲望を我慢してくれているのが伝わって来て、俺の方が切なくなったりもした。
そんなふうに伊央利は俺を本当に大切にしてくれるし、俺もまた伊央利が誰よりも大切で……。
最大の禁忌の関係だということなんて、もうどうでもよくなるくらいに甘く幸せな日々を送っている。
しかし、そんな幸せな日々に一つだけ落ちる陰があった。
そう従姉妹のさやかの存在だ。
勿論伊央利が浮気をするとは思っていない。
けれども彼女の存在を好ましく思うほど俺は心が広くない。
どうしても苦手意識が働いてしまう。
伊央利は否定するが、さやかは絶対伊央利が好きだと思う。
だってさやかはいつも伊央利の方を見てるし、気にしてるように思える。
その日もさやかは我が家に来ていた。
伊央利はまだ学校から帰って来ておらず俺とさやかの二人きりだ。
さやかはクッキーを焼いて持って来ていて、それをお皿にきれいに盛り付ける。
「前に言ってた通り今回は手作りスイーツよ。ほら伊央利は甘いものがあまり好きじゃないでしょ? だから甘さ控えめにしたのよ。甘党の大和くんにはちょっぴり物足りないかもしれないけど」
ニッコリと笑って見せるさやかは嫌になるくらいの美女だ。
ここに俺以外の男が十人いれば十人全員が彼女のことを好きになってしまうんじゃないかと思うくらいに。
でもせめて伊央利が帰って来ていないのが救いだ。
はっきり言って俺は伊央利とさやかを会わせたくない。
ああもう、早く帰ってくれないかな、彼女。
いつも夕食のおかずを作って持って来る時は、さやかは夕食前には帰って行くが、今回はおやつのクッキーだからなのか、それとも伊央利が帰って来るのを待っているのか、さやかは帰ろうとはしないでソファに居座っている。
俺はイライラしていた。
心が狭いと自覚しながらも伊央利が帰ってくる前にさやかに帰って欲しいと心から思う。
三人でティータイムを楽しむ気持ちになどなれるはずもない。
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