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第27話 従姉妹の告白2
だが、俺はさやかを甘く見ていたようだ。
さやかに告られた日から三日後のこと。
この日も俺はスーパーの袋を抱えながら家路についていた。
大和は図書室で調べ物があるらしく、少し遅くなると言っていた。
くれぐれもあまり暗くならないうちに帰ってくるように大和に言うと、「伊央利の過保護。俺だって男だから平気だよ」なんて言葉が返って来た。
俺にしてみれば、大和は中性的な見た目をしているし、何より自分が魅力的だという自覚がないのが一番心配だ。
……まあ、そのための手立てはちゃんと考えてあるけど。
それでも、「あまり遅くなるようなら夕食の支度、先にしちゃうぞ」と告げると、慌てて、「そんなに遅くはならないから、待っててよ」という可愛い返事が返って来た。
二人で食事の支度をするのは、何だか新婚の夫婦にでもなったみたいで、すごく楽しくて幸せだ。
両親が転勤から帰ってくれば、もう二人きりで食事を作って食べるなんてことは、当分できないので、余計にそのひとときが愛しく感じられる。
ともあれ、夕食の献立の肉じゃがと焼き魚と味噌汁とわかめの酢の物という純和風の材料を買い込み、自宅前まで帰って来たとき、俺の目がその姿を認め、自然と眉が寄る。
自宅の前にいたのはさやかだった。
「……何か用?」
俺の口から出た声は驚くほど冷ややかな色を帯びていた。
「冷たいのね。従姉妹が遊びに来たって言うのに。……これ今日の差し入れ。肉じゃが作ったの」
三日前、もう差し入れはいらないと言ったことを彼女は聞いていなかったのだろうか。
差し出される紙袋を俺は決して受け取らなかった。
よりによって今夜の俺たちの献立と一緒の肉じゃがを作って来るなんて。
苦い思いを俺が隠さないでいると、さやかは不意に俺の制服のネクタイに手を伸ばしてきた。
そしてそのままタイを思い切り引かれる。
「えっ……?」
完全に油断していたというか、まさかさやかがそんな行動に出るとは思いもしていなかったので、俺は一歩出遅れて、気づいたときにはさやかのピンクの唇が俺のそれに重なっていた。
「やめろ……!」
すぐに彼女の体を向こう側に押しやったそのとき、ドサッと何かが落ちる音が俺の耳へ届いた。
「大和……!」
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