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11-共に
清比古の言葉に散りばめられた、忌まわしい過去を知っておきたいという気持ちもあったが、今はこれ以上聞いていられなかった。
そして、舌を絡ませたまま律動を再開する。
「ぁあ……」
しかし、だらしのない笑みが清比古の顔に張り付いた。
虚ろな、まがいものの表情 だ。
これは俺の清比古じゃない。
清比古を仰向けにし、優しく頬をなでる。
「確かに君と情交を結ぶつもりはなかった。けれど、無理強いされているわけじゃない。こうすると決めたのは俺だ」
俺は清比古の細い足を大きく割り開いて、再び桃色に色づく窄まりに猛るモノを埋めた。
「ぁ…ぁんん」
「清比古にとって、俺と『あの男』は同じなのか?」
「違う!彬はいつだって誠実で、頼もしくて、太陽のように輝いていて……本当は……僕なんかがそばにいちゃいけない……ぁあんんっっっ……!」
清比古の腰を持ち上げ、俺のモノで入り口付近をすりたてると、甘い悲鳴が上がった。
「『こんなこと気持ちいいわけない』んじゃなかったのか?」
「ンァ……ぁあんんっっ……!ごめん……ごめんなさい!僕は……こんなイヤらしい奴なんだ」
腕の中から抜け出そうとする躰を抱きすくめる。
「そうじゃない!君を人形にした男の下劣な行為と、今俺がしていることは違う。清比古にとっても違う筈だ」
俺を見つめる清比古の目がフッと遠くなった。
「……はじめは、遊んでもろうとるだけやって思いよった。けど、だんだん、おかしかことになって……」
言葉を途切れさせた清比古の、震える小さな背中をゆっくりとなでる。
「嫌だって言った。でも、悦んでるって、気持ちよくなんかないのに、お前はこれが気持ちいいんだって……。嬉しいんだろ、こうされたいんだろ、お前が誘ってるんだって……」
幼い清比古は偽りの悦楽を強要され、本当の心を捨て、空っぽの人形になっていったのか。
「大丈夫だ。偽りの君を俺が壊してやるって言っただろ」
「彬……」
「ぁ……んん……」
「もう、人形は壊れ、俺には本当の清比古が見えている。偽物の嬌声も、媚びた顔も全部捨てろ。本当の清比古を取り戻すんだ」
「ぁあっ……ぁあ……やめて、ぁっ……こんな……やっぱり彬も……こんないやらしい姿が本当の僕だって……思ってるんだね……」
「思慮深く、毅然とした姿も、俺に貫かれ快感に乱れる姿も、俺にとってはどちらも本当の清比古だ」
目を背ける清比古の気を引くように耳たぶを優しく噛む。
そして、俺の高ぶりを強く意識できるよう、腸壁に押し付けながらゆっくりと腰を動かした。
「わかるか?俺も同じだ。清比古の躰に興奮して、気持ちよくて、いやらしい姿を君にさらしてる、これも本当の俺だ」
清比古に見せつけるように、赤く色づいた胸の尖りを口に含んだ。
ふくよかな乳房があるわけでもない、男の胸だ。
なのに固い乳首の感触にたまらなく興奮した。
「ぁん…ぁあっぁっ!……でも、彬は違う。僕とは違う」
「同じだよ。まさに今、共に本当の快楽を覚えているじゃないか」
荒い息遣いで、俺の興奮は十分伝わっているはずだ。
「……僕は、でも」
「君は『淫乱な子供』なんかじゃなかった。それは『あの男』の作り上げた偽物の姿であり、だからこそ君は壊してくれと頼んだ。でももう人形は壊れている。君は性的に搾取される児童ではなく、性の快楽が人の本性のうちの一つだと知っても、きちんと向き合えるだけの知性を備えている」
「………」
「清比古……今、俺と快楽に溺れても、それは君の一面にしか過ぎない。君は優秀な生徒で、この先大学へ行き優秀な学生となり、おそらく優秀な官僚となる」
腰を緩やかに動かしながら、コリコリと勃ち上がった乳首を舌と指で弾くと清比古が身を硬直させ、細い悲鳴のような声をあげた。
「英雄色を好むと言うだろう。社会に出れば、俺たちよりよほど色に狂った奴らが世界を動かしているに違いないよ」
清比古の目に理性と色欲が同時に浮かんだ。
勃起した乳首を指先で強くこね、胸板をなぞると、フワッと柔らかな鳥肌が立つ。
「薄いのに感度のいい胸だな」
「ぁ……んん。本当は……僕はこんなじゃないんだ」
「そうじゃない。あの男に、しかもまだ未成熟なうちに無理強いされるのが嫌だっただけだ。俺にふれられるのも嫌か?俺に作り直して欲しいと言ったじゃないか。俺の与える快楽を新しく覚えればいい。本当の歓びを俺も清比古と一緒に知りたいんだ」
俺に、俺に、俺の、俺は……。
あの男を追い出す為に、何度も『俺』を意識させる。
「ぁ……彬……うんっっ、僕……気持ちいい。気持ちいいんだ」
潤んだ目でぼんやりと俺を見上げる。
もう、大丈夫だ。
俺の頬が緩く上がった。
そしてぷっくりとした乳首をやわやわとねじりながら、小さな胸から脇腹にかけ大きく愛撫すると、清比古は急に息を乱し、躰をよじり始めた。
「ぁっ……ぁあ……胸は……ダメ……もう、ダメ!」
「どうして?気持ちいいんだろ?」
「ぁんん……っ……っ……!同時にぁっ……ナカを突かないで……くれっっ……頭がおかしくなるっっっ!」
そんな事を言う癖に、手は胸をしゃぶる俺の頭を愛おしそうにかき混ぜ、足を俺の腰に絡めてくる。
「んっ……はぁ……清比古、そんな風にされたら、良すぎて俺が達してしまう」
「いっ……いいっっもう、射精 ってくれ、これ以上されたら…僕はっっ……ぁあっ……」
かすかに頭をもたげた清比古のイチモツの鈴口からダラっと液が漏れ、俺の腹を濡らした。
先走りに精液が混じっているようだ。
「ぁあん……ぅぅ」
快感に身をすくめる清比古は、軽く射精した事に気づいていない。
グッと中を突くと、勃ってもいないモノからまたクプりと液が垂れた。
「ぁっ……だめ、今ソコをヤられたら……ぁああん……ぁあ……ぁっく!」
幼いイチモツの根元をグッとつかむと、すぐに張り、しっかりと勃ち上がる。
「ぁ……ぁああっ…あきらっっ……お願い、さすって、ぁ……だめ、やっぱりだめ……ぁああ……彬っっ気持ちいようぅ……もう、こんなの……こんなの違う……!!」
「……何が、どう違う?」
「だって、気持ちいい……。あきら、僕気持ちいいんだ……いいの?僕、本当に気持ちよくなっていいの?」
「君だけじゃないよ。俺も頭がおかしくなりそうだ。清比古、もっと一緒に悦 くなろう。共にだ」
喉を引きつらせ、嗚咽のように口の中でだけで清比古が喘ぐ。
「あ……あきらっ……!あひっ……ぁあああ!いいっ!いいっ!!」
「はぁっっ……清比古、俺も……いいよ……いいっ……わかるか?」
硬く弾けんばかりの剛直で、清比古の中をねちっこくかき混ぜる。
「ぁううううう」
ぎゅっと躰を丸め、イヤイヤをするように幼い顔を振った。
「なんだ、っはぁ……嫌なのか?」
そんな事はないとわかっていながらわざと聞けば、唸り声を漏らしながら、俺の首をぎゅっとかき抱く。
「もっとして欲しい?」
コクコクと頷く清比古の耳を噛んで言葉を催促する。
「もっと……でも…………………」
吐息のような、小さな、小さな囁き。
「でも、何だ?」
「僕ばかり我を忘れ、淫乱になるのは嫌なんだ」
「……っだからっ!清比古は……」
淫乱な人形などではない。まだわからないのか。そう言葉を続けようとしたが、清比古は首を横に振りながら、恥ずかしそうに小さな手で目元を隠していた。
「そうじゃない!そうじゃなくて、その……隠してたけど、実はさっきから何度も女みたいに気をやっていて、僕ばかり彬に夢中だから……あ…彬も僕に……溺れてくれないか?」
「……嘘だ!いいんだ!君は僕を救おうとしてくれているだけ。わかってる!」
すぐに否定し、起きようとする躰を力任せに押さえつけた。
清比古の腰をさらに引き寄せ、再奥までグッと押し込む。
奥の壁をグリグリとこねると、清比古が苦しげな表情を見せた。
「俺は上手いやりかたなんか知らない。夢中になれば気持ちいいだけじゃなくなるぞ?」
そう言いながらすでに、先端が再奥にぶつかる感触を楽しみ、リズミカルに腰を振っていた。
「ゔっふぅっっ……!いいっ。大丈夫。僕はもう充分気持ちよくなったから」
俺の肩を痛いくらい掴んで、顔をしかめている。
また、これが清比古にとって嫌な記憶になってしまったら。
そう思ったのは一瞬だった。
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