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12-『俺の清比古』

「ゔっ……ゔっ……ゔっ」 突くたびに苦しげなうめき声をあげる。 「苦しいか?」 「そんな事は……」 「…………」 俺の無言に清比古がすぐ前言撤回した。 「……奥は…まだ苦しい……」 「そうか」 一つ頷いて、清比古の頬に熱く荒い息を吹きかけながら、口づけをした。 自分の意思を示してくれた事に胸が熱くなる。 清比古にとって、これは一方的な被虐ではないのだ。 清比古が苦しいと訴えているにも関わらず、俺はさらに大きく腰を振った。 快感に太ももが震え、全身から汗が吹き出す。 「気持ちいいよ、清比古。っく……こんなの初めて……だ!気持ちよくて、嬉しくてっっ……たまらない!」 心地よさに目が霞み、清比古の顔さえぼやける。 昂りを食い締め、熱い肉を絡みつかせる(もの)()にでも取り憑かれてるような気分で腰をふり、快楽に溺れる。 「うゔっっ……うぐっ……」 腰をぶつけるたびに跳ねる小さな躰。 苦しそうなうめき声さえ愛おしく、しかめた顔は愛らしい。 細い首に手を這わす。 すると快感にヒクリと躰が跳ねた。 両手で締めるように血管を押さえれば、十秒ほどでスッと意識を失いかける。 ああ……俺は今、過去の清比古を殺したんだ。 首から手を放すと、清比古は尻穴を突かれる衝撃で遠のきかけた意識を取り戻す。 俺の精を受け清比古が生き返ったかのようだ。 たまらない満足感があった。 清比古は俺に命を預け、嬲られることを厭わない。 この愛おしすぎて、壊してしまいそうな衝動すら許されている。 「あ……あ……んああっっ」 ぼんやりとした目で、清比古が手荒い突きに甘い喘ぎを漏らした。 俺のすることならなんでも喜ぶ、可愛い清比古。 ジュワンと脳内に快感が広がり、激しい衝動が引いていった。 はぁっはぁっ……という自分の息と激しい鼓動を持て余しながら、小刻みな動きに変える。 それでもジュクジュクとした快感は高まるばかりだ。 清比古はからめた足をよじりながら、ぎゅっと目を閉じ、俺の肩に爪を食い込ませ喘いでいる。 「はぁっっ……まだ…苦しいか?清比古」 「ちょっと……苦しいけど……ぁっぁっっ!気持ち……いいっ……ぁあっキてる……キてっ……。ヤダよあきらっ!苦しいのまで全部気持ちよくなるっ!ヤダっ!ヤダァ!」 じっと身を固めたと思ったら、駄々をこねるようにぎゅっと抱きついてきた。 「どうした、何が嫌なんだ?」 「だって、あきらにされることっっ……んぁああっ……全部気持ちいいなんて、変だっ。色情狂になるっっ!いやらしい子になってしまうっ!」 「……どんな清比古でも……好きだよ」 濡れてひたいに張り付いた前髪をかき上げると、清比古の目に水晶のような涙が浮かんだ。 「本当?あきらっ……淫乱でも僕のこと好きでいてくれる?男のちんぽ咥え込んでヒィヒィ泣く、汚い子供でもっ……好きでいてくれる!?」 「ああ、それも清比古の一面だというなら別に汚いとは思わない。むしろ俺で乱れてくれるのは嬉しいよ」 「っっ!!彬っ!……あきらっっ!ああっ、僕の全部をあきらで満たして!」 しがみついてくる清比古を引き剥がし、自分で片足の膝を持って足を大きく開かせる。 誰かが持ち込んだ艶本で同じ姿を見たことがあったが、闇に白い肌を浮かび上がらせる清比古は美人画よりもずっと美しかった。 恥ずかしそうに待つ清比古の中に、再び己を埋めた。 「ぁ…ぁ……っぁ…ああぁっ」 清比古の声が悦びに弾んだ。 これまでより結合部分の密着度合いが高く、心地いい。 俺の太ももに清比古のイチモツが当たる。 「んぁ……ふっぁ……んンンンン!」 クイクイと足で擦り立てるとひときわ大きな声で清比古が鳴いた。 「っ……はぁっ。清比古もうすぐ達する……できれば君も一緒に」 清比古の膝を抱えているのとは反対の手を、イチモツに導いて握らせる。 愛らしい唇を噛み締め、一緒に達そうと自分のモノを夢中で擦り立てる姿が愛らしかった。 「ふぅっっ……も…僕もでるっ……」 蠱惑的な上目遣いを受け、腰を引こうとして止められた。 「彬……中に」 ギュッと吸い上げられるような感触に全身に快感が走り抜ける。 清比古が意図的に俺の怒張を締め上げたのだ。 「お願いだ。躰の中に欲しい……っぁひっ!」 俺だけに向けられた媚を含んだ視線にやられた。 快感が弾ける。 「っ………清比古っっ……ふっくっ」 目の前がチカチカと点滅し、清比古の中にドクリと溢れた。 そして狭い体内で自分の出した液体に圧迫され、さらに快感が増す。 「……はぁっ……はぁ……」 まだ中に入ったまま、小さな清比古に半身もたれかけ、息を整える。 清比古の体温が心地いい。 布団に顔半分を埋めたまま、いたわるように頬をなで、その滑らかさを楽しんだ。 「ひくっ……ひくっ……」 「清比古?」 「や、違う。ひくっ……違うから……ひくっっ……」 しゃくりあげながら、何か言い訳を口にしようとするが言葉にならない。 ざまざまな感情がないまぜになって、自分でもなぜ泣いているのかわからないんだろう。 震える唇を優しく噛んで、頭をなでると、清比古が甘えて抱きついてきた。 ……愛おしい。 ギュッと抱きしめ返す。 ………困った。 優しい心持ちでいるはずなのに、温かな粘膜に包まれた若い躰は少しの刺激にも簡単に反応してしまう。 気まずく思いながら清比古の背中をさすると、じっと顔を覗き込んできて、小さく頷いた。 俺の腕から小さな躰が抜け出す。 清比古が何を了解したつもりでいるのかわからず、様子を見ていると、再び力を持ってしまった俺のイチモツを握り、腹をまたいで膝立ちになった。 「ぅうぁっ……くっ……!」 腰を沈めた清比古の、精液でぬめる穴に再び猛ったイチモツを抱かれ、たまらず大きな声がでた。 どうやら俺の仕草と表情を催促と解釈したらしい。 「ごめんね。彬を快くしたいとは思ってるんだけど、僕……下手……だよね」 恥ずかしそうに両手をついて、腰を前後に振る。 時々ぎこちなく動きを止めては、すくい上げるように腰を回し、小さな鼻の穴をヒクヒクさせて俺を見下ろす。 「ぁあっ……いけない……ぁああっ……僕の方が……いいっ!大丈夫?彬、気持ちよくなってくれてる?」 「もちろん。息を弾ませ、くしゃくしゃな顔になっている清比古も愛らしくて最高だ」 腰に手を添え動きを補助すると、清比古の動きが滑らかに力強くなった。 クチュクチュッと清比古の尻穴がいやらしい音をたて、キュウキュウと美味そうに俺のモノを吸い上げ続ける。 「愛らしいだなんて嘘だ。彬にそんな風に言われると、ンァっ……はぁっ…恥ずかしいよ」 「今までずっとそう思っていたけど言わなかっただけだ」 「……彬……。僕も彬のこと、とても美しく素敵だと、ずっと憧れてた」 「美しく?それは違うだろう?」 「ううん。僕にとって彬は凜として美しく、誰よりも魅力に溢れて見える」 小さな手で俺の頬を挟むと、柔らかな唇を押し当ててきた。 「彬……あきら……ぁあ……ンァ…あっ……素敵だ……ずっと憧れてた。君は本当に素敵だ……」 唇を貪る清比古の目は俺だけを写す。 「清比古、ほら、もっと好きに動いて気持ちよくなってるところを見せて」 「んっ……んっっ!きもひぃっ……きもひぃっよ……」 ネジつけるように腰を回して、ブルブルと太ももを震わせる。 「ぁあっ!また……イッた……ぁあ、もう、すごぃ。あきらのチンポはろうして、なぜこんなキモチイイんら?」 胸が真っ赤に染まり、呂律が回らなくなってきた清比古が、涙をポロポロこぼしながら、だらしなく笑う。 『俺の清比古』が俺に見せる淫乱な本性。 「清比古、気持ち良過ぎて本当に壊れたおもちゃになってしまったね。でも俺が何度でも組み立て直すから、君は安心して壊れていいんだ」 俺が組み立て直すたび、俺を覚えて、俺だけに淫乱な清比古になっていけばいい。 清比古がビクビクと痙攣する。 俺の理性も完全に飛んでいた。 もう自分で動くことができない清比古を、腹の上からおろして横たえると、細い足を持ち上げ、小さな躰を好きに貪った。 「んぁああっ!んっ……僕……嬉しか。おチンチン好きなやらしか子れも彬は優しぃ……ぁああひっっ」 ブツブツと独り言を言いながら、力無い躰が時折激しく暴れる。 「あきら……あひっぁ……」 「ふっ……清比古……はぁっ……んはっ」 互いに名前を呼んでいるのか喘ぎなのかもわからない。 どのくらい貪っていたのか。 のしかかるような冬の闇が軽くなり、朝の気配を帯び始めていた。 俺の下で清比古がぐったりしている。 慌てて息を確認し、頬を叩いて目を開けさせた。 気だるげに目を開いた清比古は、薄く笑って、またすぐ目を閉じる。 どうやら半分寝てしまっているようだ。 「おやすみ」 耳元で言うと微かに頷き、寝息をたて始めた。 俺も躰が重い。それでも手ぬぐいで簡単に二人の躰を拭いた。 少し動かすたびに、清比古の尻から己の欲望の証のような精液が流れ出す。 自分の強欲さを見せつけられるようだ。だが、同時に喜びもあった。 深く寝入ってしまった小さな体に布団をかけ、赤ん坊のように握った拳を手にとって口付ける。 隣に横たわった俺は、清比古の体温を感じながら、短い眠りについた。

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