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24-エリートの対抗心

「っ……はぁ……気持ちいいよ……清比古」 いっぱいに俺のモノを含んだ、滑らかな頬をなでる。 清比古は熱に潤んだ上目遣いで俺をじっと見つめ、喜びを溢れさせた。 俺が膝立ちになると、清比古もベッドに座る。 動きやすくなった清比古は、俺の陰茎を深く喉までくわえ、更なる興奮を誘うように顔を前後に振った。 けれどすぐに奉仕など忘れ、欲望のまま荒い息で愛おしげに陰茎に舌を這わせ、夢中でしゃぶりつく。 「はぁ……ビクビクしてる。あきらっ……あきらっ……は……っング」 「これでは俺が清比古に食われているだけだな」 無遠慮に頭を掴んだ。 そして乱暴に腰を振って清比古の口を犯す。 「んぶっ……んっっぐ……ぐぶっっ」 激しい突きにぐぽっぐぽっと、口内が鳴り、清比古の綺麗な顔が俺の陰毛に埋まる。 清比古は呻きながらもしっかりと唇をすぼめて吸い付き、横目で静かに座る人形を見て、自慢げに嗤った。 「ああ、いいぞ。……はぁっ。上手だ……」 同世代では出世頭のエリート官僚が、セックスドールに勝てたと本気で喜んでいるのだ。 愛おしい気持ちが溢れた。大切に扱いたいのに、手荒にして壊してしまいたい。 激しく脈打つモノを喉奥まで深く差し込みねじつけた。 「げふっ……うっぐ…ぐむ……」 柔らかな喉に先端が締め付けられ、腰が震える。 躰は熱く、濡れた背中にシャツが張り付いてきた。 「はぁっ……こんなにされても、嬉しそうだな」 ねっとり頬や首筋をなでれば、清比古はより強く幸福の気を発した。 熾火(おきび)のように腹の底に沈めていた、狂おしい想いが激しく再燃し、パチパチと火花を散らす。 それが、ズクンズクンと痛いほど疼く快感を呼び、出口を求めた。 「清比古、どこに欲しい?」 このまま口で続けるか、それとも中を貫き愛されたいか。 「全部。口も、顔も、躰も、体内も、僕の全部を彬で浄めて」 眉を下げ、惨めめかして乞うてきた。 そうだ、昔から清比古はこういう欲張りな男だった。 自分は情交で疲れ果て、指を動かすのも辛いときでも、俺に『もっと』とねだって、働かせていた。 先程もしおらしく俺の人形になりたいなどと言っていたが、どうせすぐに俺は、可愛い人形のためにきつい体に鞭打ってでもせっせと快楽を与える、人形の言いなりの馬鹿な所有者(オーナー)に成り下がるんだろう。 縛った腕とワイシャツはそのままに、手早くズボンと下着を剥ぎ取ると、滑らかな象牙色の肌が現れた。 やや小ぶりな陰茎は、俺のモノを咥えただけで強い興奮を示し、淫猥な蜜を垂らして太ももに糸を引き揺れている。 「綺麗だ清比古」 「嘘ばかり。こんな……泣いて、よだれを垂らして、きっと目も真っ赤だろ」 「人形はいくら可愛がっても、こんな反応見せやしないよ」 「それは……僕の方がいいってこと?」 子供じみた、甘えた声音(こわね)だ。 「もちろん。誰も清比古にはかなわない」 そう言いながら顔にイチモツを擦り付けると、恍惚に眼球を揺らし、催促するように口を開いた。 誘われるまま口に含ませ、粘膜にすりつけながら手で根元を強くこすって射精感を高める。 「っはぁっ……清比古、上手にしゃぶったご褒美だ。……出すぞ」 「むぶっ……んっ……んくっっ……!」 ビュルっ。 勢いよく口内に放つ。吐精半ばで引き抜いて、こすりつけるように顔にも与える。 「ん……ん……」 当たり前のように飲み下した。 精液の垂れた唇を舐める赤い舌が妙に目に焼き付いた。 顔を彩る白いとろみを指で広げる。すると心底嬉しそうに清比古が微笑んだ。 「あきら……あきら……。もしかして……しばらく『誰とも』……してなかった?」 「……まあな」 清比古の口角がきゅうっと上がった。 「そう……そうかぁ……」 俺の言葉を噛み締めながら、勝ち誇った視線を椅子に座る幼い清比古に向けた。 ……本当に、こんな人形ごときにどこまで敵愾心(てきがいしん)を燃やすのか。 植えつけられた人形対する劣等感の根深さに胸を締め付けられる。 「これまでも、これからも、俺には清比古が一番だ」 小さな体を抱きしめ、想いを流し込むよう囁く。 「ほんとうに?いくつもある僕の中で、この僕のことが一番好き?」 俺にとっては人形はただの人形で、清比古の似姿(にすがた)として以上の親しみはない。 けれど清比古はそう思ってはいないらしい。 「もちろん。だから壊すんだ。俺が偽物の清比古を全部壊して君だけを愛してあげるよ」 「彬が……僕を愛して……?同情や責任じゃなく?ああ……都合のいい妄想の世界にいるみたいだ」 「清比古、そろそろ君の想像の中の俺ではなく、今ここにいる俺の心を真っ直ぐ見てくれないか。君が俺を想っていたように、俺もずっと君を恋しく想っていたんだ」 むき出しの尻をなでる。 するとそれに応えて、骨ばっているのに柔らかな躰が軟体動物のように絡みついた。 「僕はね、努力で良い成績を収めてはいたけど、本当はそう頭のいい方ではないんだよ。だから馬鹿な僕にもわかるように教えて。彬がどんな風に僕を想ってくれているのか。どのくらい僕を欲しいと思ってくれているのか」 赤い舌をチロチロと動かし、俺の胸板を舐めてねだる。 「ふぁぅ……」 すべらかな尻を揉み、時折ヒクつくすぼまりを指がなぞると、期待のこもったため息を漏らす。そして誘うように腰を上下に揺らし、さらに深いところへの愛撫をねだってきた。 指先で慎ましい窄まりを開くと、胸に清比古の熱い息がかかり、期待を示すように甘噛みを始める。 唾をつけた指を二本、ねじ込んでいく。すると清比古の菊座は想像以上にあっさりとそれを飲み込んでいった。 「ん……はぁぁ」 少しかき混ぜただけで簡単にこぼれ出す、なまめかしい声。 「清比古」 「ぅん……?」 「君は、ここを全く我慢していなかったようだな」 「っ……」 清比古の顔が羞恥に染まった。 「それは……彬だって僕が淫乱な(たち)なのは知ってるだろう」 「……だから?」 ジワリと浮かぶ嫌な想像。 俺の身代わりはいないと言っても、男を買って手っ取り早く済ますことだって……。 「だから……だから……その……言わないと駄目か?」 「俺がよくない想像を膨らませ、君を見限ってもいいなら、言わないでもかまわないが」 温かな肉の穴に挿し込んだ指をねじっては開く。すると清比古は艶めかしく腰をうねらせながら、切なげに俺を見上げた。

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