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25-懇願
柔らかな内壁をなぞる止まることのない指技 に、拘束された腕がよじれた。
「だって……だって、あきらも……んぁっっ……こいつらを僕の代わりにしていたんだろ?僕も……うぁっ……お……同じだ」
精液で飾られた顔は快感に歪み、眉根のシワがクッと深くなった。
「同じ……?」
「だから……彬の事を一日たりとも忘れられなかったって……そう言っただろ?あ……ぁあ……彬の代わりで……毎日自分を慰めて……」
「代わり……」
不快な単語に、思わず指を引き抜いた。
急に刺激を失った清比古は呆けた顔で俺を見つめる。
けれど次第に困り顔になり、すり寄って何度も俺の手の甲に口付けた。
「気を悪くしたのか?でも、仕方がないじゃないか。君を想えば心は飢えるばかりで、空っぽの心の代わりに躰を満たしたくなってしまうんだ」
「そこじゃない。『俺の代わり』とはなんだ」
「それは……」
落ち着かない清比古が小動物のように俺の手の甲を噛む。
その仕草の愛らしさが、より俺を苛立たせているとは気づきもしない。
「だから……わかるだろう?そもそもは……名家の蔵で古道具の処分を手伝う機会があって」
「余計な前置きはいらない」
「……廃棄するお道具の中に、ツノ細工を見つけ、持ち帰ったんだ」
「ツノ細工……?」
「そうだよ。あ、彬が僕の代わりにしていたあんな生き人形よりよほど上等だろう」
ムキになってマシだと言うソレを思い浮かべる。
ツノ細工と言うからには、象牙か水牛か。
……つい片頬が上がってしまった。
「張り型か。ソレで俺を欲しがる尻を慰めていたのか」
「………そうだと……言ってるだろう」
不機嫌そうに目をそらす。
「毎日か?」
繰り返す質問に、清比古の機嫌がいっそう悪くなった。
「僕は……いくら彬への想いを募らせたところで、今後抱いてもらえる事など無いと思っていたんだ。だから君の名前を呼んで何度も何度も乱れ狂ったさ。仕方がないだろう!」
苛立ちをぶつけ、俺の鎖骨の下の肉を小さく噛んだ。
「ああ、悪かったそんなつもりじゃ無かったんだ」
気持ちを鎮めさせようとそっと髪をなでるが、睨まれてしまう。
「なら、どういうつもりだったんだ。そもそも君は、僕がここまで言っているのに……」
「うん?」
「………だから……僕はもう……」
清比古はぎこちなく躰を伏せると、扇情的に腰を反らし、尻をもたげた。
「もう……嫌だ。早く、彬が欲しいよ。こんなにも欲しくて欲しくてたまらないのに、なぜ君はいつまでもこんな下らない質問をするんだ」
不貞腐れた顔のまま四つん這いの足を開いて俺を誘う。
なだめるように、その滑らかな尻に手を這わせた。
「質問くらいいいだろう。そばにいなかった間の清比古も、全部俺のものにしてしまいたいんだ」
「え……?っっぁ……ん……。会えなかった間の僕を全部………」
戸惑いの表情がゆっくりと変化し、笑顔が咲いた。
「ああ……彬……うん、うん、僕の全部……君のものだよ」
自らの言葉を染み込ませるように呟き、艶をまとった目元が赤く染まる。
その目元に口づけを一つ。
そしてシャツをはぐると背中を舌でなぞった。
「ぁ……ンふぅう」
清比古は大きく喘ぐと、甘い期待が乗った息を吐く。
そのまま潤滑油を窄まりに馴染ませる。
優しく指を挿し込むと、入り口がきゅうきゅうと絞られ、柔らかな肉が嬉しそうに指を押し返してきた。
「そうだ今度、そのツノ細工で快楽を得ている姿を見せてくれないか?」
「ああ、もう!君はまだ話をするつもりなのか。お願いだ。なんでもするからっ……早く……!」
庁舎ですれ違っても素っ気なかった清比古の、必死の懇願が心地いい。
これから何度も同じような意地悪をしてしまいそうだ。
腰をなでながら、すっかりほころんだ清比古の菊座にググ…と猛る肉棒を埋めていく。
「この淫乱さも、艶めいた声も、全部、俺だけのものだ……」
「ふ……んぁ……そうだよ、彬。……僕はね、もうずっと彬にしか欲情できない躰なんだ」
しっとりとした穴に飲み込まれ、膝が震えた。
若い頃は繋がっただけでとにかく心地良く、すぐに夢中になってしまっていたため、清比古がこんな上品 だったとは気づかなかった。
「ぁ……ぁあ……侵入 ってる……はぁ……あっっ…まだっ、まだ動かないで…くれ」
「……んっっ……く……」
貪欲な窄まりが俺のイチモツを、味わうようにキュウキュウと締め付けてくる。
「ぁ……ん……すごい……ぁあ……彬、本物の……彬だ。あつい……」
なだらかな曲線を描く小さな背中が桜色に染まり、薄く汗がきらめき始めた。
息を弾ませる清比古が盛んに腹をうねらせる。するとそれに合わせ肉壁がしっとりと絡みつく。
まるでキツくしゃぶられているようだ。
一体どうやってこんな技を覚えたのか。
「はぁっっ……清比古、コレはどうしているんだ」
「ぁ……んん!……どうって、何も?……彬に挿れられただけで気をやりそうだからっっ……ぁあっ、んっく……耐えて…いるけど……窄まりがヒクついて……止まらないっ」
「俺に動くなと言いながら、自分ばかり気持ち良くなっているのか」
「んーー!違うぅ……気をやってしまわないよう我慢したいのに、勝手に腰が動いて……」
「今さら我慢する必要がどこにある?」
「ンァっ……」
色香を放つ背中を大きくなでると、敏感な躰がビクビクと震え悶える。
唇をあて浮いたばかりの汗を味わった。
かすかな塩味と清比古の爽やかな薫りが鼻にふわりと抜ける。
ねっとりと舌を絡めると、こらえきれなくなった清比古は、尻穴で怒張にしゃぶりつくように上下に腰を振り始めた。
「ホンモノの………ぁきら……ぁぁだめだ!……ぅあぁあ……ぁいいっ!イイっ!ああ、もう!いやだ!止まらないっ」
背中が跳ねたはずみでイチモツがゴリっと清比古の好 いところをえぐった。
するとシーツを握りしめて、イチモツをしゃぶる尻穴を締め付けては快感にもがく。
「ゔぁっ……いくっ!イ……いく。ぁくぅっ……ひどいよ彬!僕にばかりこんな恥ずかしい思いをさせ……ぁひっ……ぁん! 」
身に覚えのない抗議に、苦笑いを浮かべるしかない。
「さっきは『なんでもするから』と言っていたくせに、一人で善 がり乱れてばかりじゃないか。もしかして張型での自慰行為を再現し、見せてくれてるのか?」
「ちが……あんなものより彬の方がイイっ。すき……彬のコレ、気持ち良過ぎておかしくなるっ!!」
乱れた髪が濡れて張り付く横顔を見つめながら、ナカのシコリをトントンと叩くように突く。
「ゔぁっ……ふ…くぅぅぅぅっ……ぅう……」
ぎゅっと体を引き絞った清比古が、半勃ちの陰茎から精液をタラリと漏らした。
「なんだ?もう達したのか。しかもふれてもいないのに漏らすなんて。いやらしい躰になったもんだな」
余裕ぶって意地悪を言ってはいるが、清比古の快感が高まるほど中の具合が良くなるため、俺の躰も清比古を求め、熱くたぎり震えていた。
「あきらぁっっ……!ぁあ……んっく……僕は淫乱でもいいんだよね?……っっ。淫乱でも好きでっ……好きでいてくれるって言った……!」
高校の頃の俺の言葉を、まるで昨日の出来事のように語る。
一瞬、俺の意識もあの頃に戻った。
貪りたい。この愛しい躰に思うまま欲望をぶつけたい。
「もちろんだ。淫乱さも清比古の一面として愛おしく思ってるよ。君はもう、子供じゃない。快楽に狂う姿を見せつけて、もっともっと俺を興奮させてくれ」
暴れる腰を掴んで押さえつける。
そして音が響き渡るほど激しく、清比古の尻に腰を打ち付けた。
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