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第16話 「いちとにい」

「いっちゃんはー、好きな人、いないの?」 ある日のお昼時 俺は友人にそう質問した 「いるよ」 「……えっ?」 「付き合ってるよ」 「えっ!?」 「もうラブラブですよ」 平然と返された言葉は聞いていないことばかりで 「え、待って待って!誰と、」 「いち」 相手は誰か、聞こうとした時聞こえた 凛とした、声 「あ、何?」 その声が聞こえた途端、いっちゃんの声が明るくなる 「俺今日もう帰る」 「そーなの?じゃあ俺も」 「だめ」 「何で」 「授業出て」 速攻で却下されたことに不満を持ちながらも、逆らえないようだ そんな膨れないで、なんて、優しい笑顔でいっちゃんに言うこの人は…… 「……分かった。帰り家行く」 「ん、待ってる。じゃあ後でな」 「うん、ばいばい」 「……いっちゃん、今のは……?」 帰った後に、聞く 「俺の仁衣」 お、俺、の…… 「可愛いでしょ。惚れちゃダメだよ」 「……いや、えっと、じゃあ、今のが……いっちゃんの、恋人ってことですか」 「そう」 「……何だか不機嫌ですね」 その理由は、確実に゙仁衣゙さんだろうけど 「別に」 「そーですか……」 突然知ったいっちゃんの恋人 ……男だったなー、と、今更ながらに思う まあ、ラブラブだそうなので何よりです

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