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第17話 「いちとにい」

「にーいちゃんっ」 「……その呼び方やめてくれる?」 「やだね」 「……」 俺には、不良みたいな格好した友人がいる 「最近壱くんとはどーなの」 「……どうって何が」 「上手くいってんの」 「そりゃまあ」 「ふーん……」 こいつの恋人とはメル友だったりする クラスが違うから心配らしく、逐一報告してくれと頼まれた まあこいつ見た目いいからなー 「仁衣ちゃんはさー、壱くんのどこを好きになったの」 「は……?なんでお前にそんなこと言わなくちゃなんねーの」 「いいからいいから」 「…………全部?」 「……わーお」 恥ずかしげもなくさらっと壱くんの全部が好きだと言う仁衣ちゃん 壱くんを思い出したのか、微笑み付き すかさずカメラを起動しパシャリ 「……今なんか撮った?」 「いや何も?」 ……勘が鋭い けど仁衣ちゃんは基本人を疑わない だからほら、今だって。ふーん、って言って終わり 今の会話を壱くんに送信 微笑み写真も忘れずに ナイスシャッター俺。上手く撮れた 綺麗な金髪が風にふわふわ揺れている 恋人を思い出して笑う仁衣ちゃんは、とても綺麗だ 俺には、不良みたいな格好した、美人な友人がいる 友人の笑顔は、恋人の話題を出せばほぼ100%の確率で見られます。

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