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第37話 「恋の魔法」
キス、って、魔法みたいだと思いません?
俺ね、一度だけ、好きな人とキスをしたんです
まあその時は、本気で好きってわけじゃなかったんですけど
憧れの人と、事故だったけど、キスをしたんです
たった1度だけ、ですけど
……ふふっ、たった1度だけ
それだけで、それで、簡単に恋に落ちてしまうぐらい、貴方は元から魅力的な人でした
俺は貴方に惹かれていました
同性しか好きになれないと気づいた時、難しいかもしれないけれど、本気で好き合える人に会いたいと思いました
だんだんと、それが貴方だったらいいと思うようになりました
確かに、貴方が言うように俺は、恋に恋していただけかもしれない
憧れを恋と勘違いしていただけかもしれない
それでも、今はもう違う
勘違いでは済まされないほど、貴方が好きです
ほんとに好きです、好きでした
だからもう、すべてを忘れたい
すぐには無理かもしれないけれど、どうせもう二度と会えないのだから
ゆっくりになってしまうかもしれませんけど、許してくださいね
……ご結婚、おめでとうございます
お幸せに
貴方はこの恋を認めてくださらなかったけれど
いつか、一緒に、恋をしてくれる人が現れたなら
一度のキスじゃなく、挨拶からはじめよう
ゆっくりと気持ちを育みながら、何度目かわからなくなるほどに、キスをしよう
はちみつみたいに甘い、そんな愛をくれる、受け止めてくれる人に、いつか出会えたら
゙お姫様は、恋の魔法を待っている。
魔法使いにはかけられない、特別な魔法。
誰もが綺麗になる魔法。
お姫様は待っている。
自分だけの王子様を待っている。゙
俺はお姫様じゃないけれど
自分だけの王子様を待っている
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