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第23話

事前に言われていた時間よりもかなり早く、会社にはついてしまった。 ドアの前でどうしようか、と迷ってウロウロしていたら、オフィスには既に白石や高田は来ていた。 社員も2人は出社していて、他の社員も時間をおかず出社してきた。 決まった始業時間よりかなり早く来るのは当たり前の環境なのだろう。 明日からも早く来ようと広瀬は思った。 午前中は会社の業務説明などを受け、午後からは先輩社員の指示で書類の整理やデータチェックを手伝うことになった。 先輩社員は、飯星という名前の30代半ばの男性だ。以前、白石の部下で、誘われて転職したとのことだった。 白石と同じようにがっしりした身体で首が太い。 口調は丁寧で物腰も柔らかい。左手の薬指には銀色の指輪がはまっている。 穏やかな人懐こい笑顔で、自分も入社してまだ1年もたってない新人なので、一緒に勉強しましょうと挨拶された。 飯星以外の社員は、朝顔を出した後は、すぐに外出していた。外でのミーティングが多い仕事らしい。 白石と高田は今日から出張で、今週は会社には戻らないということだった。 何かあればいつでも連絡しなさい、と白石の電話番号を教えられた。さらに、出張あけの来週、歓迎会をするから時間を空けておきなさいとも伝えられた。

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