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第27話

「貴重品が入っているので、大至急探して欲しい」と男は言った。 貴重品ってなんだろう、と広瀬は思う。金目の物だとすると、盗まれている可能性が高い。 「カバンの中には何が入っているのですか?」と飯星がたずねた。 「書類だ」と男は答えた。 「他には?書類だけでしょうか?」 「忘れた」 「書類は、ファイルになっているのでしょうか?それとも封筒に入っていますか?」 男は数秒黙った。「紙の書類だ。何に入っていようが探すのには関係ないことだろう」 「忘れ物センターでは、中身を照会しますので、紛失物の中身情報が必要です」 男の声が強くなる。 「そんなことはだ、君に教えられなくてもわかっている。忘れ物センターで何回も聞かされた。だから、ここに来たんだ。カバンを探して欲しい。それと、忘れ物センターは、中身の確認はできないはずだ。カバンには鍵がかかっている。ついでに教えるが、鍵がかかっているカバンを探していると何度も伝えて、形状も言っているが、連中は調べようともしない」 飯星は、カバンには鍵、と用紙に書いた。「鍵は、今、お持ちですか?」 「なぜ?」 「カバンを見つけた時の確認用にです」 「今は持っていない。見つけたら中を見ようなどとは思わずすぐに連絡してほしい」 「その、カバンの写真は提供していただけますか?」 「ああ。当たり前だ。これがあれば探せるだろう。忘れ物センターにもこの写真を送るからと伝えたが、送るなと言われた」 男はそう言うと、画像ファイルを飯星の説明に従い転送した。

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