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第47話

東城は、夜遅くに帰ってきた。 リビングのソファーで待ってる広瀬に気づくといつもの優しい笑顔になった。 「外回りしたんだな。ちょっと日にやけてる」と彼は楽し気な声で言った。 そして、見上げる自分に軽くキスをしてきた。広瀬は目を閉じた。 顎に触れる指が少しだけ熱い。 「さっき忍沼さんに会いました」と広瀬が報告すると、すぐに真面目な顔になりうなずいた。 二人でソファーに座り、広瀬は、今日、忍沼から聞いたことと、大垣のことを話した。 「その、大垣ってオジサンがなんであんなでかいドイツ車に乗ってうちに来るんだ?」と東城は普通に疑問を投げてきた。 「わかりません。大垣さんの勤め先の団体の車というだけですから、大垣さんは乗ってなかったかもしれません」 「それはそうかもな。でも、どう考えたって大垣は無関係じゃないだろ。大垣は、警察庁にいた時はどんな仕事していたんだ?」 「あまり、よく知らないんです」と広瀬は正直に言った。「オジサンたちは、自分の仕事のことよく話す人とそうでない人がいて、大垣さんは話さない人でした。秘密のことも多い仕事ですから、お互いあえて聞かないという暗黙の了解もありましたし」 「秘密のことが多い仕事か」と東城は言った。「最近、大垣には会ったのか?この前、オジサンたちとの会合あったよな?あの時はいたのか?」 広瀬は記憶をたどる。「いました」 「どんな様子だった?」 「特に、変わった様子はありませんでした」 そうは答えたものの、普段の大垣をよく知っているというわけではないのだ。変わったかどうかは分からない。無口な大垣があの席にどんな風に座っていたのか思い出そうとするが、その像はぼんやりとしている。

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