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第48話
「そのオジサン会では何の話をしたんだ?」
「この前は、俺の新しい仕事のことという名目で集まったんです。何人かが実際に持ってきてくれていて、どんな仕事がいいかとか、質問されました」
「大垣も紹介を?」
「大垣さんは、あの日は具体的にはもってこられなかったんですが、心当たりをあたってみると言っていました」
「それは実際にありそうな感じだったのか?それとも社交辞令っぽい感じ?」
「実際にありそうでした。そういえば、大垣さん、前も、他のオジサンに、仕事があるから人を紹介してほしいと言ってました。どんな仕事かはわからなかったんですけど、オジサンたち同士、人を紹介しあったりはよくしてました。大垣さんが仕事見つけてくれると言うのはありうる話です」
「秘密の多い仕事だから、信用のおける人間を紹介ベースで探してるんだろうな」と東城は言った。「他には?大垣がうちに来る理由で思い当たることはないのか?」
広瀬は首を横に振った。
思いつかない。
「そうか」と東城はいう。「あの車に乗ってた奴が警察関係者で、おまけにお前の知り合いかもしれないとすると、しばらく様子見だな。正体が分かったからってこっちから安易に襲撃するわけにもいかなさそうだ」ほんの少しため息交じりだった。
「忍沼には知り合いだって話はしたのか?」
「いえ」と広瀬は否定した。「大垣さんが関係しているかどうかわからないうちに、名前は出さない方がいいと思いました」
「それはそうだな。忍沼が大垣のことを下手に調べたりしたら、返り討ちにあったりしかねない」
もう、忍沼を危険な目にあわすわけにはいかないからな、と、彼は独り言のように慎重にしよう、とつぶやいた。
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