53 / 130
第53話
早起きするつもりだったのに、気づいたら起きる予定の時間を30分も過ぎていた。
目覚ましは鳴っていたが何度も自分で止めてしまったようだ。
目をつぶったままで横に手を伸ばすと、東城はベッドにはいない。
すでに起きているのだ。
だったら、声をかけて起こしてくれればいいのに。
広瀬は、身体を起こした。目はまだ半分とじている、そのまま前のめりになって、うつぶせに寝ないように、額を手で支えた。
夕べの余韻がまだ身体の中に残っている。
眠ったの何時だっただろう、と思った。
かなり遅い時間まで東城は広瀬を離さなかった。いつも以上にしつこかったのだ。
もっとも広瀬も彼を存分に楽しんだのだが。
裸のままで二階のシャワールームに行き、姿見鏡で自分の身体を見てみる。
孔雀石が素肌の胸にある。見慣れない自分に一瞬驚いてしまった。触ると緑色の石は体温で温かくなっている。
昨夜、彼の手が唇が舌が、この身体中をくまなく触れた。
あの時の自分を思い出すと恥ずかしくなり肌が赤味を帯びてくる。
火照る自分をいさめながら跡が残っていないかと背中も首を回してみるが、大丈夫なようだった。
少なくとも、服から出る範囲でキスマークはついていない。
ぬるめの温度設定にしてシャワーを浴びた。
泡立ちのよいボディソープを使い、ざっと洗い流した。
ともだちにシェアしよう!