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第81話

駐車場からのエレベーターは、途中の階で乗り換え、さらに上層階に移動した。 止まったフロアでセキュリティカードがかざされ、小さなピピっという鍵の解除の音の後にオフィスのドアが開く。 内部は木目調の重厚なデザインのオフィスだった。 夜の時間帯だが、人の気配がある。 壁にいくつもかかる時計が、ニューヨークやロンドン、ナイロビ、北京といった時間を示しており、グローバルな仕事をしていそうな雰囲気だ。 勢田はここで何をしているのだろうか。 広瀬は、早乙女に連れられ、奥へと入って行った。出迎えに来た二人も後からついてくる。 重そうな木の扉が開けられ、中に通される。 部屋の向こうは一面、窓ガラスで、夜景がいっぱいに広がっていた。 色を変える高いタワーや観覧車も見える。 奥にはピカピカに磨き上げられた重厚な黒いデスクがあり、革張りの椅子に勢田が座っていた。 彼は、早乙女と広瀬が部屋に入ってくると、椅子から立ち上がった。 「彰也」と勢田は言った。「早乙女が言っていた客人と言うのは、お前だったのか」 勢田は、ゆっくりと自分のデスクの前に歩いてきた。 そして、広瀬の前に立った。

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