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第109話

ちょっとむっとしたので、広瀬は東城を問いただすことにした。 「ところで、東城さん。どうして俺が勢田の事務所にいるってわかったんですか?」 彼がきちんと説明をするまで聞くつもりだ。 「どうって」と東城はあきれた口調で言う。「それ、説明必要なのか?」 「当たり前です。俺のスマホのGPSをとってたんですか?」 「お前のスマホのGPSなんて役に立つわけないだろ。お前と知り合ってから、何台壊したりなくしたりしると思ってんだよ」そう言いながら東城は指を折って数えるふりをしている。「そんな不確かなものに俺が頼ったりするわけないだろ」 広瀬は、うっかり同意しそうになったのを咳ばらいをしてごまかした。「じゃあ、魔よけとかいってくれたあの孔雀石のアクセサリーで俺を追ってたんですね」 「そうだ」とあっさり東城はうなずいた。「魔よけとかいって、じゃなくて、本当に魔よけになるんだぞ。実際に、お前を見つけることができたろう。仙台の叔母がパワーストーンの解説書を何冊か送ってきてくれたんだ。それによると石には様々な力があって」と違う方向に話題が行きそうになる。 広瀬は遮った。 「孔雀石にGPSをしこんだんですよね。でも、それだけでどうやって俺が勢田のところにいるってわかったんですか」 「ああ、それは入れてるのGPSだけじゃないから」と東城はあっさりと答える。「孔雀石の鎖が切れるなりなんなりしてお前から離れると、作動するようになってるんだ。小さいマイクと通信装置がついてて、俺のスマホで周囲の音声が聞こえるようになる。だから、お前と勢田の会話が聞くことができたんだ」 東城は、GPSの位置情報と勢田との会話から、すぐに勢田が経営に関与している会社のオフィスをつきとめたのだと言った。

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