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第111話
広瀬はさらに質問する。「じゃあ、誰に依頼したんですか?」
東城はしばらく広瀬に回答するかどうか迷っていた。だが、考えを巡らせた後、口を開いた。
「仙台の叔母の娘、俺の従姉妹の一人が、俺んちでは珍しく医者にならずにIT会社作ってる。その従姉妹に頼んだ。希望を伝えて作って欲しいって言ったらすぐに開発して送ってくれたんだ」
そんな親戚がいたのか、知らなかったと広瀬は思った。
それにしてもその従姉妹さんは何を思って東城の依頼を聞いたのだろうか。
そんな人を監視するようなアクセサリー欲しいっていうなんてアブナイ奴って思われなかったのだろうか。
逆に、長年東城のことをそう思ってて、今更なにを頼まれても何とも思わないのかも。
東城に甘い親戚の女性たちの顔が目に浮かぶ。
従姉妹もあの仲間なのだろうか。みんな聡明でしっかりしているのに、いやだからこそなのか。
やんちゃなのに女性にはいつも礼儀正しく甘え上手なこの男のわがままを聞いてしまうのだ。
「それはそうと、あの孔雀石どうした?」と東城が聞いてくる。
「リビングにおいてます」と広瀬は答えた。
東城は立ち上がって取りに行く。
戻ってきた彼が手に持った孔雀石を広瀬に見せながら言った。「直してもらうよ。今回は本当に役に立った」
勢田に絡まれてしまったことを思うと、ストーカーよけの力は発揮しなかったんじゃないかな、と広瀬は内心呟いた。
どちらかというと役に立ったのは従姉妹の技術力だ。
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