116 / 130

第116話

以前忍沼から聞いた話によると、記憶の実験には、副作用があった。 規範意識の低下、万能感だ。 能力を拡大させる一方で、自分の力を過信し、危険を察知する力を減退させる。 子供だった被験者の多くは事故で亡くなった。 危ない場所を危ないと思えなくなったのだ。 自分なら大丈夫、自分なら許されると思い込んでしまう。水の事故や高所からの転落、交通事故。 規範意識の低下から暴力的になり、人生を狂わせた者もいる。 それは記憶の実験の副作用だったが、証明はできないままだ。 以前、実験のリーダーだった大学教授は因果関係は証明できないと広瀬に言い放った。 忍沼は粗い大垣の像を指さす。 「この男」 「だめです」と広瀬は忍沼が言葉を出す前に言った。 「だめって?」 「大垣さんに関わってはだめです。それに、まだ、どんな目的で大垣さんが俺のところに来たのかも何もわからない」 「それも調べてあげるよ」と忍沼は言った。「どうしたの。あきちゃんらしくもない。心配してるの?」 広瀬はうなずいた。心配するに決まっている。忍沼は何をするつもりだろうか。大垣は一筋縄ではいかない男だ。
ロード中
コメント
4件のコメント ▼

最初から読んで、ようやく連載に追いつきました(笑) ホンマやー、副作用アリアリです。 広瀬、「ほう・れん・そう亅が大事ですよ。

あられさん はじめまして。ぶどうのあきです。 コメントありがとうございます。お返事できなくてすみませんでした。ここまで読んでいただいてありがとうございます。

何かドキドキの展開…。取り敢えず東城さんにそうだんしようよ。危険な匂いがぷんぷんする。それこそ規範意識の低下、おれなら大丈夫の典型じゃないの

ずいぶん時間が空いてしまってすみません。 コメントありがとうございます。 広瀬は、自分が他の実験の被験者と同じ副作用になってるとは思っていないんだと思います。

ともだちにシェアしよう!