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第122話

そう疑っていると、突然、思ってもみないことが起こった。福岡は箸をおき、居住まいを正し「戻ってこないか?」と再度言ったのだ。 東城は、すぐに、うなずいた。こんな風に福岡に言われたら従わないわけにはいかない。 「わかりました」 福岡は満足げにうなずいた。 「俺のほうで異動の手配をしておく。できるだけ早く戻れるようするから、明日中には今の仕事を片付けておけ」 「明日中ですか」 無理だという言葉が頭の中を回るが、福岡には何を言っても無駄なのでそれ以上は口をつぐんだ。 福岡は、ビールを、また手酌でグラスに注ぎ、飲み干した。表情が緩んでいるのは、機嫌がよくなった証拠だ。 「それから、まだ、『Nノート』の話には続きがある。田代が持って逃げたのは偽物だ。こんなこともあるだろうと持って俺が作っておいた。うまく作ったから当面は気づかれない」 「そんなことまでしていたんですか」 「東城、あのノートは魔法のノートだ。上でふんぞり返っている偉いやつらの悪事がかかれているんだ。持っているだけで、願いが叶うぞ」と福岡は椅子にふんぞり返って言った。 先が思いやられる、と東城は心の中でつぶやく。戻ることに同意すべきじゃなかった。すぐに後悔することになりそうだ。願いが叶うどころか、悪夢の泥沼にはまりそうだ。

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