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第123話

「ところで田代警部補は、どこの部署に異動になったんですか?」と東城は聞いた。 「最近できた部署だ。環境系の犯罪を取り締まる」 「環境系の犯罪とはなんですか?」 「そんなことも知らないのか、と言いたいところだが、俺もよく知らない。環境には国の予算がたっぷりついているから、警視庁もおこぼれにあずかりたいってとこじゃないのか。仕事の内容はどうせ後付けだろう。環境ビジネスがらみの詐欺とか偽造とか」 「その部署に異動した田代警部補が、ノートを取りに来たんですか」 「おおかた新しい上司に命令でもされたんだ。田代は裏切り者だ」福岡は楽しそうに言った。 裏切り者がどうなるか、お前、知ってるだろう」 東城は首を横に振った。「知りませんし、あまり聞きたくもないです。田代警部補だって、悪意はなかったと思いますよ。仕方なく、新しい部署に言われてノートをもって行ったんだと思います。福岡さんを裏切るつもりはない。尊敬する元上司なんですから」 「お前、本気で言ってるのか?」 「いえ」とそこは正直に否定した。 悪意は絶対にあっただろう。福岡の部下で彼に悪意を抱かない人間はいない。 福岡は東城の否定の返事にも機嫌を崩さず、ただ笑っていた。

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