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第124話

店を出て、酔った福岡のためにタクシーを呼んだ。 彼が去った後、自分のタクシーも呼んだが、到着まで時間がかかりそうだった。深夜はとうに過ぎている。 スマホの地図アプリを立ち上げると、白黒の画面の中で金色の点がポツンと光っている。広瀬のGPSが自宅にいることを教えてくれていた。 電話をしようとして手を止めた。広瀬は、もう眠っているかもしれない。 眺めるスマホの画面にポツンと水滴がついた。小雨が降りだしたのだ。東城は夜空を見上げた。雲が垂れ込め、星も月も見えない。 ついていないな、と思っていたら、スマホが振動し、メールの着信を告げた。 開けてみると広瀬からだった。家に着いたことを短いそっけない文章で告げている。今日も又、一日中連絡をするのを忘れていたことを、やっとやっと思い出したのだろう。 東城はすぐに返事を書いた。帰っている途中だ。先に休んでいてくれ。 これでメールのやりとりは終わりと思っていたら、広瀬から返事があった。 「待ってます」と書いてあった。 そこに、タクシーがやってきた。 東城はタクシーに乗り込むと、行き先を告げた。 「できるだけ急いでください。交通法規は守って安全運転で、速く」 運転手は軽く笑い、わかりましたと言った。 走り出す車内で東城は軽く目を閉じた。広瀬が家で自分を待っていることを考えた。

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