28 / 140

第28話

 「あ~、やっぱり起きてる。ね、言ったでしょ。なんか物音がするよーって、」  「はいはい、そうだね。泰地の言う通り、さすが泰地。...はい、これでいいでしょ」  「うわ~、晴紀冷たっ!そう思わない?和史、」  「...さぁな」  後ろを振り向けばそこには見覚えのない男が3人いた。  しかし所々で聞こえてきた名前から奴らが宵人をイジメてきた中心人物たちであることが分かった。  「お前ら...っ」  薄暗い部屋の中、キッと三人を睨みつける。  何故こいつらがここに...。一体叶江は何のつもりで...。  「あははーっ、初めまして。俺たちは宵人君専用のいじめっ子です!俺は綾西 泰地、今日はよろしくね宵人のお兄さん」  すると、バカそうな口調の泰地と言われていた男が俺の目の前まで近づいてきた。  二重のアーモンド型の目は細まり、口は弧を描くように上がっているその顔は、一見すれば愛嬌のあるものだが、宵人のことを考えればそれは狡賢い狐のようにしか見えなかった。  「っざけんな!!...う゛くっ...」  憎しみを込めて拳を綾西に向けるが、当たる寸前で綾西ではない第三者によってその手は強く掴まれ、阻止された。  「話せっ、この野郎っ!」  「うっわ、危なーい!ありがとう和史。俺のこのビューティフルな顔を守ってくれて」  「別に」  俺の腕を掴む短髪の男を睨みあげるが、そいつは冷めた目で俺を見下ろすだけだった。  香月 和史...こいつが宵人の顔や体に傷を...っ。  「ちょっと、皆行動力ありすぎだよ。僕だけ乗り遅れちゃったじゃん。って、なに和史は愛都君と見つめ合っちゃってるのさ」  「...は?俺は別に...――っ!」  「お前は一番許さない!!」  腕を掴まれているなら、と足を振り上げ香月の太股あたりを蹴る。  体勢が体勢なだけに上手く力が入らなかったが、注意を引かれていた香月は横へふらつき、反動で俺の腕を離した。  「はははっ、大丈夫?和史、お兄さんの方は宵人君と違って活発だねぇ」  「和史油断しすぎだよ。恵も愛都君に薬も何も飲ませてないって言ってたんだから、暴れられることくらい予測しないと」  そんな香月を綾西は笑い、永妻は注意をする。そして香月は――  「―がっ...ぅ、くっ...」  「あいつの兄弟のくせにクソ生意気な...」  一瞬の間に首を掴まれ壁に押し付けられる。  強い力で首を絞められ息が全くできない。本能的に香月の手を離させようと引っ掻いたり掴んだりするが、一向に絞める力が弱まることはなかった。  「...ぁ...かっ...ぅ、」  「は、いい顔するじゃねぇか」  そしてそんな俺の顔を見て香月は冷たい瞳を一瞬輝かせた。

ともだちにシェアしよう!