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第78話
「おい、いつまでついてくんだよ」
「何言ってんの?今日は一緒に学校行こうって言ったでしょ。だからこうしてお前が準備するのも待っててあげてるんだから」
早朝、寮の自分の部屋の前にて。俺は叶江と口論になりかけていた。
結局昨日の夜は大人しく叶江の部屋に泊まり、朝食も強制的に食べさせられてようやく俺は叶江の部屋を出ることができた。
...のだが、こいつは妙なことを言って部屋に帰る俺の後をつけてきた。
もちろん、私服姿の俺とは違って叶江は制服姿できちんと鞄も持った完璧な状態で。
「ほら、さっさと準備して来てさ。玄関で待ってるから」
「あ...ちょ、おい待て、鍵...」
「ん?俺は親切だからね、これぐらい気ない気にしない」
叶江は俺の手から鍵を奪うとそのまま鍵を開け、勝手に中へと入っていった。
勝手なことをする目の前の奴にイラつき、小さく舌打ちする。
―こいつのこういうところがまた嫌いなんだ。
朝っぱらから続く頭痛はきっとこいつのせいだ。
「...大人しくしてろよ。同室者に起きられでもしたら面倒だ」
「はいはい」
うすら笑いを浮かべる叶江を横目で睨み、俺は靴を脱いで中へと静かにはいっていった。
「...っ!?」
だが、俺は部屋に入った瞬間目にした光景に驚いた。
「なんで俺のベッドに...」
簡素な俺の部屋のシングルベッド。その上では沙原が我が物顔で横になり、気持良さ気に眠っていた。
―あぁ、もうやめてくれ...こういうの。人のベッドで寝たりなんかするなよな。
口元が引くつきそうになるのを何とか耐えて、俺はいそいそと制服に着替えた。
そして着替えが終わるなり、鞄を持つと足早に部屋を後にする。
「おー、どした。なんかさっき以上に不機嫌になってない?」
「...そりゃ誰だって勝手に人のベッドで赤の他人が寝ていたら不機嫌にもなるだろ」
「あー...なるほど。はははっ、てかお前もう沙原をそこまで懐かせたのかよ。まだ全然日も経ってないのに、さすがだな」
「勝手に言ってろ」
周りの変化が嬉しいのか、叶江は嬉しそうに笑っていた。
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