91 / 140

第91話

 「そろそろ...かな」  綾西がいじめにあうようになって2週間。やはり香月と永妻も綾西の異変や、いじめには気がついているようだった。といっても一度も助けようとはしていないが。  むしろライバルが減る、と喜んでいるんじゃないか?  しかも一番助けを求めたかった沙原には気がついてもらえないどころか、日増しに嫌われていってる。  ―まぁ、そう仕向けたのは俺なんだけどさ。  綾西へのいじめにはこないだ強姦してやった男子生徒2人を使った。  やはりふざけた調子のものだからか人脈は広かったらしく今では大勢の奴らが綾西をいたぶっていた。  今の調子だと多分あと2~3日で不登校になるんじゃないか。でも、ここまでよくもった方だ。  ―俺ならいじめにあったら次の日にはそいつらを逆に同じ立場にしてやってるぐらいだから。そこら辺は価値観の違いだろうけど。  あとは最後のひと押し。それで完全に綾西を一人にして空虚の中に閉じ込めてやる。 ....俺しか見れなくするように。  「愛都!ごめん、ちょっと遅れた、」  「ううん、大丈夫だよ。俺こそ急に誘っちゃってごめんね」  「何言ってんだよ!それこそ大丈夫だから!」  場所は図書室。読書スペースで寛いでいた愛都は待ち人...里乃の存在に胸を高鳴らせた。  コソコソと小さな声を出してくる里乃は、本当...何というか可愛らしく見える。  「そういえばお勧めの本、教えてほしいんだよな?こっちだよ、きて」  そういうと里乃は俺を手招きし、図書室の奥の方へと案内してくれる。  そう、里乃には面白い本を教えてもらう、という名目の元、放課後わざわざ図書室へと来てもらったのだ。  といっても、それはただ単に里乃と会いたくて作った理由だが。  俺は3-A、里乃は3-D。クラス自体も離れていて、しかも俺自身の存在は目立ってしまうという事もあり普段は全くと言っていいほど里乃とは関わることができなかった。  いつも遠くから里乃の存在を確認するだけ。  だから会えるところといえば人の少ない図書室か、2人きりになれる寮の部屋ぐらい。  この時ばかりは本当、自分自身の状況を不便だと思ってしまう。

ともだちにシェアしよう!