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第95話※
「ねぇ、泰地君。これ、すごくよく写ってるよね」
「...っ、なんで――それを持って...っ」
その中から1人が前に出てきてヒラヒラと1枚の写真を綾西の目の前にちらつかせてきた。
「んー、なんでだろうね。いや、それにしても意外。泰地君って玩具で遊ぶのが好きなんだ...後ろの穴使って」
男がそう言った瞬間、周りからゲラゲラとバカにしたような笑い声が飛び交った。
「何、言ってんの...意味わかんないし、ってかそれ俺じゃないから」
「あははははっ!泰地君こそ何言ってんの、嘘はいけないよ、嘘は」
「あ゛ぐ....っ」
男は笑い、床に座り込んでいる綾西の脇腹を思い切り蹴り上げてきた。
そこはよく蹴られている部分で、一番痣の痕がひどい部分であった。そのせいで酷い痛みが襲い薄い涙の膜が張って視界が歪んだ。
「俺達さ、泰地君はただのサンドバックとしか見てなかったけど...なんかさ、この写真見てると――ヤって見たくなっちゃったんだよね、泰地君と、」
すると周りにいる、見てるだけだった奴らが俺の元へと近づいてくる。
全員がこの状況を楽しんでいる目をしていた。
「い...嫌だ...っ、ふざけるな!誰がお前らなんかと...っ、」
「はぁ?ダメダメ。泰地君に拒否権はありませーん」
「やめ...っ、触んなっ!!」
慌てて立ち上がれば、後ろから誰かに羽交い締めにされた。
―ふざけんな!こんな奴らにヤられてたまるか...っ、
「離せって、言ってんだろっ!」
「う゛...っ、痛ってぇ...」
痛む体に無理をして俺は全身の力を振り絞ると、羽交い締めにしてきた男の鳩尾に肘を食いこませた。
油断していたのか、男は直に腹に衝撃を受けて苦しげに呻く。
そして俺を拘束する腕の力が弱まった隙に俺はその男から逃げだし、周りが動き出すよりも先に走って空き教室から出ていった。
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