99 / 140
第99話※
「許さない...愛都君が許しても、僕は絶対に泰地を許さない...」
「そん...な...」
意識の無い千麻の体を抱きしめ、弥生は鋭い目つきで俺を睨んできた。
―拒絶、された。
あの弥生が、俺を拒絶した。俺の...俺の弥生、なのに。
頭の中をまるで走馬燈が走るかのように、弥生との楽しかった思い出が駆け巡った。
だけど今、見ている弥生はその思い出とは正反対の姿。
俺はこの瞬間、唯一の存在を失ったのがわかった。
「俺は...また1人になったんだ...」
そう自覚した途端、今度は自分の過去の姿が脳内に浮かんだ。
1人、部屋で過ごす自分。1人、外で遊ぶ自分。笑うこともなく、楽しいこともなく、無表情で毎日を過ごす自分。
「...う...あ...あ゛あ...っ、」
涙が溢れ、とめどなく流れては頬を濡らした。
いく筋もの涙の痕ができ、ポタポタと落ちては床や自分自身にその痕を残していく。
そして床に崩れ落ちる俺の視界は真っ暗になった。
ともだちにシェアしよう!