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第99話※

 「許さない...愛都君が許しても、僕は絶対に泰地を許さない...」  「そん...な...」  意識の無い千麻の体を抱きしめ、弥生は鋭い目つきで俺を睨んできた。  ―拒絶、された。  あの弥生が、俺を拒絶した。俺の...俺の弥生、なのに。  頭の中をまるで走馬燈が走るかのように、弥生との楽しかった思い出が駆け巡った。  だけど今、見ている弥生はその思い出とは正反対の姿。  俺はこの瞬間、唯一の存在を失ったのがわかった。  「俺は...また1人になったんだ...」  そう自覚した途端、今度は自分の過去の姿が脳内に浮かんだ。  1人、部屋で過ごす自分。1人、外で遊ぶ自分。笑うこともなく、楽しいこともなく、無表情で毎日を過ごす自分。  「...う...あ...あ゛あ...っ、」  涙が溢れ、とめどなく流れては頬を濡らした。  いく筋もの涙の痕ができ、ポタポタと落ちては床や自分自身にその痕を残していく。  そして床に崩れ落ちる俺の視界は真っ暗になった。

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