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第103話

 「ん...あぁ、そうか」  ハッと目が覚め見慣れない光景が視界に入るが、すぐ隣で俺を抱きしめながら眠る男の存在で、すぐに状況を思い出した。  あのあと求められるまま体を綾西にあずけ、セックスした。  酷く興奮した様子の綾西はしつこく何度も俺の中に出した。  しかし今、特に体の中にそれがある感覚は無い。肌もべたついていない。 俺が眠っている間に綾西が始末し、俺の体も綺麗にしたようだった。  ―そういえば、電話...  愛都は上体を起こし、すぐ近くにあった上着を手繰り寄せるとポケットの中から携帯を取り出す。  「...んっ...」  するとギシリ、とベットのスプリングの音がなり、腰の部分をきつく抱きしめられた。  「...寝てる、」  しかし、当の本人は未だに気持ちよさそうに眠っていた。  ― 俺を放すまい、と無意識に体が動いたか...本当、酷く依存されたものだな。  漠然とした思考のまま、綾西を一瞥し、再び携帯に目を向けた。  そして画面を見たとき、  「...っ!病、院から...?」  そこには宵人が入院している病院から着信履歴が残っていた。  ―宵人に何かあったのか...っ!?  いてもたってもいられず、愛都は時間を確認することも無く、すぐに電話をかけなおした。  「あ、あの、すいません、先ほど電話をいただいた千麻ですが、」  電話がつながり、愛都同様、少しあわてた様子の看護師が用件を聞いてきた。  しかし、愛都が名前を名乗ると、その看護師は、ハッと息を飲み込んだ。  『千麻 宵人君...―――目を覚ましましたよ』  「...っ、」  その瞬間、愛都は目を見開き、呼吸をすることさえ忘れるほど、その知らせに言葉を詰まらせた。

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