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第134話

 「もう...こんな時間か。」  あれから綾西に後ろから抱きしめられながらベッドで眠り、起きればすでに窓からは夕焼けが見えていた。  今日はクラスごとでの集団見学があったはずだった。しかし、愛都は綾西と2人でそれをサボってしまった。  きっとあと少ししたら見学から帰って来た弥生がどうしたものかと部屋を訪れそうだ、ということは考えなくても分かった。  ― コンコン、  かと思っていれば、タイミング良く鳴らされるノック音。  「ん...だれ、?」  「...俺が出る。お前はここにいろ」  重たい体に力を入れ、ゆっくりと起き上がる。眠りが浅かったのか、ノック音で起きた綾西だが、愛都の指示通り起き上がりかけた体を再びベッドに投げ出した。  ― コンコン、  そうしている間にも繰り返されるノック音。今日はいつにもまして弥生とは話をする気分になれなかった。  ― 体調が悪いとでもいって、さっさと戻らせよう...  そして大きなため息をし、寝室を出た愛都は玄関の扉を開けた。  だが...――― 扉を開けた先にいた人物は愛都の予想を大きく上回る人物だった。  「あっ、急にごめんな」  「...――― 里乃、くん」  予想外の人物の登場で嬉しさと同時に焦りが込み上げてくる。  里乃は何をしに来たのか。まさか香月の部屋にいたことがバレていたのか。  表向きには笑顔を作った愛都だが、内心ではそんな不安が次々と溢れ出てきていた。  「どうかしたの?びっくりしちゃった」  「いや、ちょっと頼まれごとされてさ。...―― これ、渡してくれって。」  「ん...?」  スッと差し出されるのは大きめの、封のあいた封筒。不思議に思いながらもそれを受け取る愛都だが、次の瞬間里乃の口から発せられた言葉で思わず笑顔のまま顔を硬直させてしまった。  「あっ、これは恵君からのものな!それじゃあ、俺これから友達と約束があるから、」  「恵君...ね。わざわざごめんな、ありがとう。」  そうして背を向けて去っていくその姿を愛都は見送る。  ガチャリ、と閉まる扉。封筒の中に伸ばされる手。  「...ッ、」  中に入っていたのは...――― 香月と2人でヤっている時の写真だった。  「あの野郎...ッ、」  怒りのまま何十枚もの写真が入った封筒を床に投げ捨て、部屋を出る。  部屋を出る間際、慌てた様子の綾西の声が聞こえたがそれさえも無視して愛都はある部屋を目指して足早に歩き始めた。  

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