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第139話
「それにしても、お前目立ってたなぁ」
部屋につき、愛都は先程のことを思い出して笑う。周りの目を気にすることなく、服を着たまま大浴場の中を歩き回り、しまいには愛都を見つけて大声を上げ始めるのだから。それはもう、目立っていた。
「本当、人があまりいなくてよかった」
「...ごめん、俺...愛都探すのに必死で、」
「まぁ、いいよ別に。お前が来てくれたから沙原とも一線越えずに済んだし。俺の計画ではまだあいつとはヤらないつもりだったからさ」
「...あいつにも、愛都の体を触らせるのか...?」
「はっ、当たり前だろ。今更そんなこと訊くな」
そう言えば、綾西は悲しげに表情を曇らせた。しかしそれに対して何も文句は言ってこなかった。
― ようやく無駄だとわかったか、自分のわがままは俺には通用しないと、
寧ろ、そんなことを言えば、自分の立場が危うくなるだけだ。捨てられたくない、そんな一途な気持ちが今の綾西の自我を成立させていた。
「そういえばさ、ねぇ愛都...俺旅行中ずっと愛都のいいつけちゃんと守ったよ。だから...だからさ、」
そんな中、突如としてソファで寛ぐ愛都に黒い影ができる。先程までの表情、雰囲気はどこへやら、顔を上げればぎらつく瞳と目が合った。
「俺のお願い、きいてくれる...?」
掠れたその声はひどく色香を放っていた。
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「ふっ...ぅ、ん...ん゛ぐッ、ぁ...」
「あぁ、気持ちい...きもちい、よ愛都」
濃い精液のにおいと苦み。ソファの上にいるのは乱れた服装の愛都と綾西。
愛都は軽く開脚した綾西の股間に顔をうずめ、口いっぱいに熱い昂ぶりを頬張って奉仕していた。
ズボンは脱がされ、Yシャツを羽織っただけの愛都の尻の穴には、綾西の指が数本うごめいていた。
時折、前立腺に当たっては愛都は小さく喘いだ。行為に慣れた体は僅かな刺激にさえも敏感に反応し、意思に反して変化する。
「あっあぁ...ッ、ぅ、イキそ...」
びくびくと口の中で脈打つ雄を嫌な顔一つせず、愛撫すればどっと大量の先走りが溢れ、ボタボタと口から零れていった。
「ん...ん"ッ、ぁ...なに、」
もう少しでイキそうだ、とピッチを上げた愛都だが、急に肩を押され動きを止められた。
「愛都の...中でイキたい」
そして、頬を赤く染め、息を荒げる綾西は愛都に騎乗位になるように言い、自身の上に乗っからせた。
昼間にあった香月との行為と、つい先ほどまで綾西にほぐされていたことにより、すでに愛都の方の準備もできていた。
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