10 / 33
第10話
だが、浮かれてばかりはいられない。
吐いてしまおう。
全部。
葉月さんの手を煩わせないように。
公園には残念ながらトイレが無かったので、申し訳ないが繁みに吐いた。
喉まで指を入れ、江頭に注がれた精まで吐くようなつもりで吐いた。
5分もたたないうちに、健はやってきた。
「雨宮くん」
「葉月さん」
「……もしかして、吐いた?」
「ごめんなさい。臭いますか?」
しかし、吐いたのは遠い繁みの奥だ。
健は、やたら鼻がきくようだった。
ともだちにシェアしよう!