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第10話

 だが、浮かれてばかりはいられない。  吐いてしまおう。  全部。  葉月さんの手を煩わせないように。  公園には残念ながらトイレが無かったので、申し訳ないが繁みに吐いた。  喉まで指を入れ、江頭に注がれた精まで吐くようなつもりで吐いた。  5分もたたないうちに、健はやってきた。 「雨宮くん」 「葉月さん」 「……もしかして、吐いた?」 「ごめんなさい。臭いますか?」  しかし、吐いたのは遠い繁みの奥だ。  健は、やたら鼻がきくようだった。

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