11 / 33

第11話

 いや、こちらこそごめん、と健は謝ってきた。 「20歳の歓迎のつもりが、悪酔いさせちゃって。江頭は? 彼に、何かされなかった?」  どきり、と吉乃の胸が痛みを伴い打った。  どうしよう。  相談しようか、レイプされたこと。 「いえ、別に。タクシーの中で吐きそうになったから、僕がここで降ろしてもらったんです」 「……そう」  眼が怖い。  葉月さんの、澄んだ眼が怖い。  何もかも見透かしているような、眼が怖い。  しかし健はそれ以上何も言うことなく、開けた通りに吉乃を連れて来るとタクシーを拾った。

ともだちにシェアしよう!