18 / 33
第18話
赤い血。
映画で、血判状など書く時には、よく指先を傷つけて血を出していたっけ。
自分の指腹にナイフの刃を当てた時、一瞬ひるんだがすぐに気は大きくなった。
あの江頭さんから逃げられるなら、わずかな痛みと血なんてどうということはない。
吉乃は刃を引き、指を傷つけた。
ぷくりと浮き上がってくる、赤い血液。
こぼれないよう気を付けながら、右目に差した。
ぼやける視界で、赤い月を見た。
「どうなるんだろう」
疑惑を抱いたのは一瞬で、今まで静かだった公園に一陣の風が吹き上がった。
巻く風の中に現れたのは……、ヒト!?
「古の呪法で赤月の一族に呼び出されるのは、久しぶりだ」
ともだちにシェアしよう!