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第18話

 赤い血。  映画で、血判状など書く時には、よく指先を傷つけて血を出していたっけ。  自分の指腹にナイフの刃を当てた時、一瞬ひるんだがすぐに気は大きくなった。  あの江頭さんから逃げられるなら、わずかな痛みと血なんてどうということはない。  吉乃は刃を引き、指を傷つけた。  ぷくりと浮き上がってくる、赤い血液。  こぼれないよう気を付けながら、右目に差した。  ぼやける視界で、赤い月を見た。 「どうなるんだろう」  疑惑を抱いたのは一瞬で、今まで静かだった公園に一陣の風が吹き上がった。  巻く風の中に現れたのは……、ヒト!? 「古の呪法で赤月の一族に呼び出されるのは、久しぶりだ」  

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