『吉乃を助けてくれる者が、やってくるよ』 　ひいじいちゃん、この人が、僕を助けてくれるの！？ 　すらりと高い背、長い手足、風になぶられる黒髪、赤い月の逆光で顔は見えないが……。 　何だか、聞き覚えのある声だ。 　いや、聞き違えるはずがない。 　だって、この声は……。 「……葉月さん！？」 「ッ、雨宮くん！？」 　相手が吉乃と解ると、途端に健はくるりと後ろを向いた。 　慌ててその腕を取り、引き戻す。 「待ってください、葉月さん！」 「いや、まさか雨宮くんに呼び出されるとは！」