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第22話

「俺がもう少し気が利いていれば、こんなことにはならなかったのに」  ごめん、と健は頭を下げた。 「葉月さんが謝ることなんか、ないです」  素直で謙虚な、雨宮くん。  彼の持つ、甘い優しさが健は好きだった。  吉乃のことが、好きだった。  そんな吉乃を穢した、江頭 剛。 「許せんな」  突然変わった健の口調に、吉乃は驚いた。 「江頭を、狩りに行く。吉乃も来るか?」 「え、江頭さんを!?」  健が、江頭、と言い捨てたことにも驚いたが、自分のことを『吉乃』と呼んだことにも驚いた。  返事ができずにいると、来い、とばかりに腕を掴まれた。

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